CMEグループが提供する信用先物は、機関投資家にとって強力かつ資本効率に優れたツールとして登場し、信用リスクを管理し、市場見通しを精緻に表現するための新たな手段を提供しています。これらの取引所取引デリバティブは、米国社債市場における信用リスクのエクスポージャーを、投資家が直接取得できるように設計されています。本ガイドでは、ブルームバーグ・クレジット先物の概要、主要な取引およびリスク管理の概念、そしてクレジット市場における他の商品との比較について説明します。
成長する市場
2024年6月の取引開始以降、CMEグループの信用先物は大きく成長を遂げています。
信用先物とは何か?
CMEグループの信用先物は、取引所で取引されるデリバティブであり、市場をリードするブルームバーグ社債インデックスを参照して現金決済される商品です。この商品群は、各先物が連動する基準インデックスに応じて、実務家に異なるタイプの信用エクスポージャーを提供できるよう設計されています。具体的には、次のような種類があります。:
- 投資適格(IQB)先物とハイイールド(HYB)先物:これらは、金利リスクと信用リスクの双方にエクスポージャーを提供するトータル・リターン型の契約です。これらの先物は、Bloomberg U.S. Corporate Investment Grade Index (LUACTRUU Index)およびBloomberg U.S. Corporate High Yield Very Liquid Index (LHVLTRUU Index)に連動します。
- デュレーション・ヘッジ型投資適格(DHB)先物とデュレーション・ヘッジ型ハイイールド(DHY)先物:これらの先物は、デュレーション・ヘッジが組み込まれたインデックスに連動しており、米国債先物のショート・ポジションを組み合わせることで、金利要因を相殺し、信用スプレッドのみのエクスポージャーを効果的に抽出できるように設計されています。これらの先物は、DV01(1ベーシスポイント当たりの価格変動額)がほぼゼロとなるように構築されているため、米国債利回り曲線の変動に対して価格がほとんど影響を受けません。これらの先物は、Bloomberg U.S. Corporate Duration Hedged Total Return Index Value Unhedged (I30287US Index)およびBloomberg U.S. High Yield Very Liquid Duration Hedged Total Return Index Value Unhedged (I39131US Index)に連動します。
これらの先物は、広く利用されているブルームバーグの各種インデックスを基準としており、多くの機関投資家のポートフォリオやパフォーマンス評価に不可欠な市場指標を確実に追跡するよう設計されています。
基礎となるデュレーション・ヘッジ型指数で使用されている米国債先物の概算ウェイトは、Credit Futures Analytics ツール内の 「Duration-Hedged Indices」 タブで確認できます。これらのウェイトは、インデックス全体のリバランスに合わせて毎月見直されます。
信用先物の活用方法
信用先物は、さまざまな市場参加者にとって柔軟かつ多用途に活用できる商品です。
- 市場エクスポージャーの獲得:先物は、社債市場のエクスポージャーを、効率的かつ資金不要で、レバレッジを効かせて取得する手段を提供します。参加者は、原資産である現物の社債を売買することなく、戦略的なオーバーレイを迅速かつ効率的に実装したり、短期ポジションを機動的に出し入れしたりすることができます。このため、先物は現金管理をより円滑に行うための有用な「流動性スリーブ」として機能します。
- 信用リスクおよび金利リスクのヘッジ 先物契約は、社債の信用リスクと金利リスクの双方を管理する手段として活用できます。トータル・リターン型の先物(IQBとHYB)は、双方のリスクを幅広くヘッジできる一方、デュレーション・ヘッジ型の先物(DHBとDHY)は、信用要因のみを切り出して管理するための、より精密なツールです。例えば、ポートフォリオ・マネジャーはDHB先物を利用することで、金利リスクに影響を与えることなく、投資適格社債の信用スプレッドのエクスポージャーをヘッジすることができます。
- 相対価値取引:信用先物は、クレジット・デフォルト・スワップ・インデックス(CDX)や社債ETF、さらには個別債券のミスプライシングなど、他の金融商品との相対価値戦略を行う際に有効な手段となります。先物市場の透明性により、より効率的な裁定取引やスプレッド取引が可能になります。
独自の価値提案
信用先物は、いくつかの重要な利点を備えており、効率性・柔軟性・流動性を高い次元で兼ね備える点で、他のクレジット市場商品と比べ際立った存在です。:
- 流動性:当社の信用先物は、流動性を中央集約型の板寄せ方式(CLOB)に集中させることで、透明性が高く効率的な市場形成を実現しています。ブロック取引および派生ブロック取引(50枚以上の取引)は、大口注文を効率的に執行することを可能にし、隣接する市場の流動性を活用することもできます。ベーシス・トレード・アット・インデックス・クローズ(BTIC)取引を活用することで、インデックスのクローズ時点にかかるリスクを管理することも可能です。
- 柔軟性:トータル・リターン型先物(IQBとHYB)とデュレーション・ヘッジ型先物(DHBとDHY)の両方が利用できることで、信用リスクと金利リスクの両方を包括的にヘッジすることができ、また信用リスクだけを狙い撃ちでヘッジすることも可能になります。
- 資本効率:米国債先物や株価指数先物など、CMEグループで清算される他の商品との証拠金相殺が可能であることから、信用先物は洗練された投資家にとって非常に魅力的なツールとなっています。
- 信用先物とCDXインデックスの比較:信用先物は、幅広い銘柄で構成される社債インデックスの動きに忠実に連動します。一方、CDXは、より少数の発行体(HYは100社、IGは125社)を均等比率で組み入れ、銀行などの金融セクターを含まず、月次ではなく半期ごとにリバランスされるという特徴があります。
- 信用先物とETFの比較:ETFは全額資金を拠出して保有する有価証券であるのに対し、信用先物は資金を全額拠出する必要がない取引手段であり、名目元本のごく一部(当初証拠金)だけで取引できます。ETFも信用取引で購入できますが、一般的な証拠金率は約50%と高く、名目元本の約1%から2%で取引できる信用先物と比べると、必要証拠金は大幅に高くなります。その結果、先物は高いレバレッジ効果と資本効率を提供します。さらに、ETFのショート・ポジションを構築する場合はコストがかかり、貸株のリコール・リスクを伴いますが、先物であれば単に売り建てるだけでショート・ポジションを取ることができます。
CLOBの流動性の定量化
CLOB の流動性は通常、最良気配(「トップ・オブ・ブック」)におけるビッド/アスク・スプレッドと、同価格帯での板の厚み(ブックデプス)によって定量化されます。下表は、最近観測されたビッド/アスクのスプレッドと板の厚み(ビッドとアスクの平均値で算出)の各種指標を示しています。ビッド/アスク・スプレッドは、隣接市場の流動性と比較できるよう、ベーシスポイント(bps)や先物価格に対する割合としても表示しています。
| 契約 | B/Aスプレッド (インデックス pt) |
B/Aスプレッド (価格比) |
B/Aスプレッド(bps) | デプス(契約) | デプス (名目元本 100万ドル) |
|---|---|---|---|---|---|
| IQB | 0.6 | 0.017% | 0.25 | 20 | $2.1 |
| HYB | 0.14 | 0.019% | 0.64 | 21 | $2.3 |
| DHB | 0.05 | 0.023% | 0.34 | 36 | $3.9 |
| DHY | 0.03 | 0.018% | 0.62 | 39 | $4.2 |
*2025年11月の全取引日(午前10時~午後3時(米中部時間))の最良気配の平均。
上の表が平均値を示しているのに対して、下の表では、ビッド/アスク・スプレッドが特定の水準(またはそれ以上に良好な水準)にあった時間の割合を示しています。
|
契約 |
B/Aスプレッド (指数pt) |
B/Aスプレッド (価格比) |
B/Aスプレッド (bps) |
B/Aスプレッド以上 であった時間の割合 |
|---|---|---|---|---|
|
IQB |
0.5 |
0.01% |
0.21 |
66.5% |
|
1 |
0.03% |
0.41 |
95.7% |
|
|
1.5 |
0.04% |
0.62 |
96.2% |
|
|
HYB |
0.1 |
0.01% |
0.46 |
62.0% |
|
0.2 |
0.03% |
0.91 |
95.3% |
|
|
0.3 |
0.04% |
1.37 |
96.2% |
*2025年11月の全取引日(午前10時~午後3時(米中部時間))の最良気配の平均。
派生ブロックの価格決定方法
派生ブロックは、関連する市場から流動性を調達することで、大口の先物ポジションを執行できるようにする仕組みです。信用先物では、取引価格と取引数量は、債券ETFなどの現物市場で行われる関連ヘッジ取引に基づいて決定されます。
派生ブロックの主な利点は以下のとおりです。:
- 流動性の向上:より広範なクレジット市場と連動させることで、より深い流動性を引き出すことができます。
- 組み込み型ヘッジ:流動性提供者のリスク低減に寄与し、市場のタイト化にもつながります。
- 柔軟なヘッジ方法:(合理的な程度の価格相関がある場合)最も流動性の高い関連市場の中から、ヘッジ手段とヘッジ方法を選択することができます。
以下の例は、派生ブロック価格がどのように決定されるかを示したものです。参加者が、先物の基準価格を3470、LQDの基準価格を100とすることで合意したとします。参加者はまた、IQB先物(デュレーション 6.8年)とLQD(8.4年)のデュレーション差を反映し、ヘッジ比率を0.81(=6.8÷8.4)で合意します。
参加者は、参照ヘッジに用いるヘッジ方法と時間帯として、米国東部時間午前11時から正午までのTWAP(時間加重平均価格)を採用することで合意します。
流動性提供者は関連市場でヘッジ取引を行い、その結果、TWAP(時間加重平均価格)が101であると算出します。
TWAPが参照価格より1%高かったため、その差分に合意済のヘッジ比率を乗じた分だけ、先物価格が調整されます。
結果
FuturesRef x [1+ [(TWAP/Ref -1) x AdjustmentFactor]
= 3470 x [1+ (101/100 - 1) x 0.81]
= 3470 x 1.0081
= 3,498.11 (小数点以下0.01インデックスポイント単位に四捨五入)
結論
結論として、当社の信用先物は、クレジット・エクスポージャーを管理するうえで、効率的で柔軟性が高く、かつ流動性に優れた代替手段を提供します。トータル・リターン型先物とデュレーション・ヘッジ型先物の両方を提供することで、参加者は自らのエクスポージャーを高い精度で調整することができます。詳細については、以下の資料をご参照ください。:
- 信用先物に関するよくある質問 - お客様から寄せられる主なご質問への回答
- Credit Futures Analytics - 主要なリスク指標、チャート、過去のトラッキングエラーなどを備えたウェブベースの分析ツール