今週でちょうど10年前、CMEグループは米「超」10年中期国債先物(TN)を上場しました。現在では、取引高は常時1日70万枚を超え、建玉も約250万枚(2,500億ドル)前後で推移しており、この流動性を当然のことと捉えがちです。しかし、この節目を祝うにあたり、過去数十年間にわたってイールドカーブ上のこの特定ポイントを「先物化」する試みが苦戦してきた中で、超10年債先物の成功の理由を記録しておく価値があります。超10年債先物の成功は偶然ではありませんでした。それは、変化するマクロ経済情勢に対応した、極めて革新的な商品設計による成果だったのです。

超10年債先物の成功を読み解くには、まず従来の10年債先物(TY)の仕組みを解説します。TYは巨大かつ極めて価値の高い業界ベンチマークであり、残存期間6.5年から8年のノート(中期債)とボンド(長期債)の受渡適格銘柄バスケットから流動性を集約させることで、圧倒的な強みを発揮しています(2023年9月限月以前は、残存期間の上限は10年でした)。

しかし、国債先物契約の想定元本基準クーポンは6%であり、市場利回りが6%を大幅に下回る環境では、従来のTYは実質的に米国債イールドカーブ上のバスケットの短期側(6.5年から7年)を追随することになります。

この動きでギャップが生じました。市場では、世界の債券市場の「重心」をヘッジするための真の10年債が必要とされていました。それは、資産運用会社のデュレーション管理のために、また米国住宅ローン担保証券や社債ポートフォリオのヘッジのために多用されている特定のポイントです。

この根本的な市場ニーズに対し、当時特有の規制要因が後押しとなりました。それがバーゼルIIIです。2016年1月10日、補完的レバレッジ比率(SLR)要件が厳しくなり始めたまさにその頃、当社は超10年債先物を上場しました。SLRでは米国債ポジションを総エクスポージャーの分母に算入したため、銀行は現物米国債の保有に伴う新たなバランスシート上の圧力(資本コスト増)に直面していました。これにより、資本効率が高く、オフバランスシート型の代替商品を上場する絶好のタイミングが生まれましたが、それは現物市場を正確に追随する信頼性の高い設計を実現できる場合に限られました。

このイノベーションの核心は、「受渡適格銘柄のパズル」を解決することにありました。当社は、発行時に10年物で、かつ残存期間が9年5カ月以上ある中期国債に限定したバスケットを設計しました。その結果、バスケットはダブルオールド、オールド、カレントのわずか3銘柄で構成されることになりました。

歴史的に見れば、銘柄を限定したバスケットに依存することは、受渡供給量に対する懸念を招く可能性がありました。こうした懸念は、適切に管理されたポジション制限の適切な管理、高度な規制監視技術の導入、広範な市場教育の実施によって、2016年までに十分に対処されてきましたが、当社はこうした懸念をさらに払拭するために、堅牢な設計を実現しました。当社には、マクロ経済への鋭い洞察に基づく確信がありました。財政赤字の拡大によって国債の発行規模が着実に押し上げられていることを認識していました。この趨勢によって、銘柄を限定したバスケットに対応し得る受渡供給プールが実現すると正しく予測しました。米国の市場性証券は増加し続け、このルールの強固さが維持されていることから、当社の見解は正しかったと証明されました。

この戦略を実行した結果、業界史上、最も成功した金利商品の上場を実現しました。上場からわずか4日間で、取引高は6万枚を超えました。重要なのは、この成長が既存市場を犠牲にすることなく実現したことです。市場分断化への懸念とは裏腹に、従来TYのカニバリゼーション(共食い現象)は見られませんでした。むしろ、超10年債先物によって、トレーダーはイールドカーブのスロープ(具体的には7年物と10年物のスプレッド)を的確に見通し、両債先物の取引高を押し上げる相対価値戦略を実行できるようになりました。現在のTYの建玉と取引高は、10年前と比べてほぼ2倍になっています。

超10年債先物の目覚ましい拡大の軌跡は、2016年から2025年にかけて、ADV(1日平均取引高)で年平均成長率(CAGR)30%、1日平均建玉でCAGR35%となって現れています。業界全体で250万枚(想定元本2,500億ドル)という幅広い参加が進む中、CFTCの2025年12月31日付の週次建玉明細報告によると、大口建玉保有者(LOIH)数は230に達しています。

CMEグループのGlobex集中型電子取引プラットフォームでは、2025年に、トップ・オブ・ブック(TOB)での安定したパッシブ流動性に支えられ、超10年債先物は想定元本換算で1日平均取引高約720億ドルに達しました。この流動性は、米国債市場で標準とされる価格呼値である、わずか1最小価格変動単位(MPI)幅(すなわち1/32の半分)という、タイトなスプレッドで安定しています。

今後10年を見据えても、10年物国債はイールドカーブ上で最も重要な指標であり続けるでしょう。政府は利回り4%以下を目標としていますが、業界関係者の間では、短期的にそれが実現可能かどうかについて、いまだ確信が持たれていません。

金融政策は緩和に向かうものの、財政赤字によって毎年2兆ドルの債務が積み上がるという状況の中で、市場参加者は、成熟度が高く、資本効率にも優れたリスク管理手段として、超10年債先物を活用できます。

超10年債先物 商品情報

米「超」10年中期国債先物(TN)について、銘柄の主な特徴、取引高、価格情報などの主要項目をご確認ください。


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