本資料は、個別株先物(以下、SSF)の原資産となる株式にコーポレートアクションが発生した場合に、CMEグループのSSFポジションに適用される調整について説明するものです。なお、本資料の目的は、(i) コーポレートアクションに伴いCMEグループのSSFに調整を適用する理由、および (ii) 原資産にコーポレートアクションが発生した場合における一般的なSSFの取扱いについて説明することです。調整プロセスのさらなる詳細なテクニカル分析については、CME Clearingが公表する文書や、Special Executive Reports、Globex Notices、Clearing AdvisoriesなどのCMEグループの公式文書をご参照ください。
個別株先物の主な特徴
SSFは、原資産株式の一定株数を基準とする差金決済契約です。本資料では、原資産株式のティッカーシンボルをABCDとし、各SSFが原資産株式100株を表すものと仮定します。[注:契約がこれと異なる株数を対象とする場合には、当該株数に基づき適切な調整が適用されます。]
コーポレートアクション調整前のSSFは、ティッカーシンボル「SABCDmy」で識別されます。ここで「-my」は満期の年月(Month-Year)を表します。満期を明示する必要がない場合には、簡潔に表示するためティッカーシンボルの「-my」部分は省略されます。
また、SSFは、米ドル建てで原資産株式1株当たりの価格でクオートされます。原資産株式にコーポレートアクションが発生しない場合、当該契約は、通常、満期月におけるSSFの最終取引日(通常は当月の第3金曜日)の現物市場における株式1株当たりの終値*を基準として現金決済されます。
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調整の対象となるコーポレートアクションの種類
SSFポジションに対する調整の対象となるコーポレートアクションには、株式分割および株式併合、特別分配(特別配当のほか、子会社のスピンオフや株主に対する新株引受権の付与など)、企業再編(合併・買収など)、ならびにSSFの原資産株式の性質を大きく変更するその他の事象が含まれます。コーポレートアクションに伴う調整の目的は、SSFが原資産である株式の経済的価値を、可能な限り公平かつ公正な方法で反映し続けられるようにすることにあります。
なお、通常配当(配当開始を含む)は、コーポレートアクション調整の対象とはなりません。
(i) 数量および価格のみの調整
単純なn対1の株式分割などがこれに該当します。たとえば、ABCD株式が5対1の株式分割を実施し、分割の効力発生日の前営業日にSABCDが240.05で清算された場合、既存の先物契約については、数量および価格のみを調整する処理が行われます。
| 既存ポジション | 調整後 |
|---|---|
| SABCD 1枚(ABCD株式100株相当)@240.05 | SABCD 5枚(分割後のABCD株式100株相当)@48.01(= 240.05 ÷ 5) |
SSFポジションに対する当該調整は、効力発生日の前営業日の取引終了後、ならびに日次清算値240.05での清算に基づく変動証拠金の計算後に実施されます。調整後のポジションは、株式分割による調整直前のポジションと同等の経済的内容を表します。調整後は、SABCD契約は調整後の前日清算価格48.01を基準として取引が再開されます。
特別配当についても同様の調整が適用されます。たとえば、ABCD株式が1株当たり20米ドルの特別配当を支払い、特別配当の権利落ち日の前営業日にSABCDが240.05で清算された場合、以下の調整が適用されます。
| 既存ポジション | 適用される調整 |
|---|---|
| SABCD 1枚 @240.05 |
SABCD既存ポジションを240.05で反対売買により解消 SABCD 1枚を220.05で再構築 |
なお、調整の対象となるのは特別配当のみです。普通配当については調整は行われません。
(ii) 数量および価格の調整のみでは既存ポジションを再現できないケース
これには、端数が生じる株式分割(例:5対2の株式分割)や、子会社株式の株主への分配などが含まれます。
このような場合、コーポレートアクションの効力発効後に既存ポジションを表すため、代替ティッカーシンボルが使用されます。元のティッカーシンボルは、コーポレートアクション後の原資産株式100株を基準とするSSFの取引のために再上場されます。
以下の例は、ABCD株式が5対2の株式分割を実施し、分割の効力発生日の前営業日にSABCDが240.05で清算された場合を示します。
| 既存ポジション | 調整後 |
|---|---|
| SABCD 1枚 @240.05 |
SABC1 1枚 @240.05 注:SABCDは再上場され、5対2の株式分割後のABCD株式100株を表す契約となります。この場合の「前日清算価格」は96.02(= 240.05 ÷ (5/2))となります。 |
注:SABC1は、株式分割の効力発生日以前のポジションを保持するために使用され、当初のポジションと同一の満期日を有します。また、本契約の乗数は100株となります。本契約は当該代替ティッカーシンボルのもとで取引可能な状態を維持し、前日清算価格240.05で取引が再開されます。
ティッカーシンボルSABCDは同時に再上場され、株式分割後のABCD株式100株を表す契約として取引されます。これら2つの契約は、原資産が異なることを反映して、それぞれ異なる価格で取引されることが見込まれます。
SABC1契約の満期時には、その最終決済価格は、最終決済日における(コーポレートアクション後の)ABCD株式の終値および調整の内容に基づいて算出されます。本例における最終決済価格は以下のとおりです。
SABC1の最終決済価格 = (5/2) x ABCDの終値
この最終決済価格は、実質的に株式分割の影響を「打ち消す」ことで、分割前のABCD株式の価値を回復するものです。
同様に、原資産株式の合併・買収に伴うSSFへの影響についても、この方法により反映させることが可能です。以下は、次の条件を仮定した場合の例です。(i) ABCD株式1株が、DCBA株式0.4501株と5.30米ドルの現金配分と交換される場合、(ii) 当該取引の効力発生日の前営業日におけるSABCDの清算価格が240.05である場合。
| 既存ポジション | 調整後 |
|---|---|
| SABCD 1枚 @240.05 |
SABC1 1枚 @240.05 注:SABCDは再上場されません。 |
SABC1契約の満期時には、その最終決済価格は、後継銘柄であるDBCA株式の終値に、現金分配額を加算する形で算出されます。
SABC1の最終決済価格 = 0.4501 x DBCA株式の終値 + 5.30
この最終決済価格は、ABCD株式1株の推定価値を表すものです。
想定され得るすべてのコーポレートアクションの種類を網羅的に列挙することはできませんが、上記で説明した調整手法は、影響を受けるSSFポジション保有者に対して、公平かつ公正な取扱いが確保されるよう適切に適用されます。各調整の具体的内容については、効力発生日に先立ち公表されます。詳細については、CMEグループのウェブサイトに掲載されている「コーポレートアクション調整予定」ページ上の関連文書をご参照ください。
処理スケジュール(概略)
コーポレートアクションの効力発生日の前営業日には、SABCDの取引はSSFの通常の取引スケジュールに従って行われます。取引終了後、CME Clearingは通常の清算業務を実施し、未処理のすべての取引の清算、およびSABCDポジションに対する日次変動証拠金の計算を行います。オープンポジションの報告後、CME Clearingはポジション調整を実施し、清算会員に対して適切な取引記録およびポジション更新情報を提供します。
調整後の契約は、その後、CMEグループにより事前に告知された時刻(例:効力発生日の米国東部時間午前1時)に取引が再開されます。詳細については、CMEグループのウェブサイトに掲載されている「コーポレートアクション調整予定」ページ上の関連文書をご参照ください。
*すべての規制当局によるレビューおよび手続きの完了待ち。
本資料に掲載の情報は、あくまで情報提供を目的としたものです。助言を意図したものではなく、また助言と解釈しないでください。本資料に記載されて いる見解は、筆者個人のものです。必ずしも CME グループならびにその関連機関の見解ではありません。本資料およびその情報を投資助言も しくは実際に市場で経験した結果として受け取らないようにしてください。