短期オプションの進化
- 0DTE(当日満期)オプションおよび短期オプションの需要増加:短期オプションへの関心が高まっており、満期日が1週間未満のオプションが株式オプション取引量全体の大部分を占めるようになりました。
- 当日満期設定による精度:週の全営業日で満期を迎えるオプションが上場されたことで、トレーダーは特定の市場動向を左右する要因を、より高い精度で定めることが可能になりました。
- ギリシャ指標の影響力: ガンマやシータが大きく影響する短期オプション特有のギリシャ指標プロファイルを活用すると、取引において新たなリスク管理手法や相場見通しの可能性が広がります。
- 画面上でのスムーズな執行:相場の方向性を重視したアウトライトなオプション取引から、CME Globexプラットフォームで利用可能な複雑なマルチレッグ(複数行使価格・期限)戦略まで、多種多様なオプション戦略を画面上で実行いただけます。
- 証拠金の資本効率向上:リスク許容度、満期設定、口座規模にかかわらず、複数の指数にわたる運用効率および資本効率の向上を可能にし、すべてのオプショントレーダーがその恩恵を受けることができます。
短期オプションのトレンド
急速に変化するリスクの管理に対して関心が高まったことで、オプション市場は変貌を遂げ、より大きな取引機会とリスク管理のニーズを提供しています。CMEグループの短期オプションは、店頭(OTC)取引に代わる柔軟な代替手段であり、主要な経済イベントや市場イベント時の取引において特に有用です。
短期的なリスク管理に注目する動きが進む中、多くのトレーダーが満期ゼロ日から5日以内のオプションに注目するようになりました。実際、マクロ経済リスクや地政学的リスクが急速に変化する中、相当な割合のトレーダーが、当日満期(0DTE)リスクに特に関心を寄せています。参考までに、4年前の0~5 DTE(満期までの日数)のE-mini S&P 500オプションの満期におけるADV(1日平均取引量)は35万枚でしたが、2025年には77万枚に増加し、120%の伸びを記録しました。
また、CMEグループのE-mini S&P 500オプションも著しく成長し、この4年間で0DTEオプションの取引量は約10万枚から37万枚へと急増しました。こうした0DTEオプションの急成長は、当日満期商品に取引量が集中するという、業界全体のトレンドと一致しています。トレーダーは、リスク管理を微調整するべく、こうした超短期商品へと軸足を移しています。0DTE契約を活用することで、オーバーナイトリスクへのエクスポージャーを排除しつつ、CPI/PPI指標の公表やFRBの発表といったボラティリティに起因する特定イベントに対してヘッジや投機を行うことができます。
過去を振り返ると、E-mini S&P 500オプションのすべての満期タイプにわたり、近年の推移には同様のパターンが見られます。過去5年間のトレンドを分析すると、市場全体では、即時性が高く影響力の大きい市場イベントに対するリスク管理に関心が移ってきていることは明らかです。
近年の市場環境は、高まるボラティリティ、根強いインフレ、中央銀行の金利政策を巡る不確実性が重なり合い、複雑な背景によって特徴づけられています。米国株価指数が史上最高値圏へと押し上げられる局面にあっても、こうした根底にあるマクロ要因によって、トレーダーは自身のポートフォリオを守る方法に根本的な変化を迫られています。その結果、トレーダーの選好は、従来の長期ヘッジから、急激な値動きに対応できる、より的を絞った短期商品へと移行しています。
短期オプション取引は、明らかに増加量と伸び率の双方で大きく成長しています。2021年時点では、E-mini S&P 500オプション全体の取引量がすべての満期タイプを合算しても70万枚に満たなかったことを踏まえると、この成長はさらに注目に値します。これに対し、過去3年間の年初来ADVは120万枚超へと成長し、その水準を維持しています。以下のチャートに示されているように、短期オプション取引は、CMEグループの株価指数先物オプション全体における流動性と市場の厚みの成長に不可欠な要素となっています。
「ギリシャ指標」を活用した短期オプション取引
オプショントレーダーは、オプションの「ギリシャ指標」が自身のオプション戦略のパフォーマンスに及ぼす影響を深く知っているでしょう。デルタ、ベガ、ガンマ、シータ、ローは、市場の動き、ボラティリティの変化、時間の経過、金利の前提条件の変化など、さまざまな要因によって変動します。このようなパラメータに関する前提設定はあらゆるオプションに影響を及ぼします。満期までの期間が短いオプションでは、その影響が特に顕著になります。例えば、ガンマ・エクスポージャーは、オプションが満期に近づくほど頻繁な管理が求められます。
トレーダーは、特にインフレと金利をめぐる不確実性が大きい環境下では、こうしたリスク管理に注力することの重要性を認識しています。CMEグループが提供する多様な限月(満期)により、トレーダーは資本効率や強固な流動性エコシステムの恩恵を受けつつ、最大限の柔軟性を持ってリスクを管理することができます。
戦略の柔軟性
多くのオプショントレーダーは方向性を重視し、満期日間近に自身の見通しを反映させるため、アウトライトオプションを取引します。一方で、CMEグループの堅牢なエコシステムを活用したオプション・スプレッド取引からも利益を得るトレーダーもいます。CME Globexプラットフォームのカスタマイズ機能を活用することで、満期が近づくにつれて急速に変化するギリシャ指標のエクスポージャーを微調整できるよう、マルチレッグ戦略を執行できます。ポートフォリオでは、バーティカル・スプレッド、ストラドル、ストラングルといったバニラ戦略を採用できます。また、より広範な市場に対して匿名でRFQ(気配リクエスト)を行い、最大40レッグに及ぶ、デルタヘッジを含むより複雑かつカスタマイズされた取引戦略を構築して、変動するリスクを管理できます。
CMEグループのプラットフォームでは、各戦略に固有のCLOB(中央指値注文板)でこのような複雑な戦略を取引でき、戦略の一部が未約定となるレッグリスクや、それに伴う市場リスクが生じる事態を回避できます。以下は、CME Directにおけるコール・スプレッドのRFQ例であり、当該戦略用のCLOBが設定されています。
指数選択の重要性
分散型ポートフォリオを構築するうえで指数の選択は実に重要であり、CMEグループの商品には、オプショントレーダーが円滑に投資を行えるよう、さまざまなツールを備えています。2022年春のE-mini S&P 500における短期オプション商品展開の成功を受け、他の主要指数においても上場サイクルを拡大しました。
2022年10月にはE-mini Nasdaq-100の火曜日・木曜日満期先物オプションを上場し、2023年2月にはE-mini Russell 2000の火曜日・木曜日満期先物オプションを上場しました。こうした変更の結果、Nasdaq-100およびRussell 2000指数のE-miniオプション商品については、常時、今後10営業日にわたる満期が利用可能になります。E-mini S&P 500先物オプションの月限は、今後5週間にわたる全ての営業日で利用可能です。
大手メガキャップテクノロジー企業は、急激な金利上昇に起因する特有の課題に直面しているため、E-mini Nasdaq-100オプションは、テクノロジー志向のトレーダーに引き続き注目されるでしょう。同時に、Nasdaq-100は、最近の金融・エネルギー業界の混乱時においても、こうした業界の動向に左右されにくい状況にありました。
対照的に、小型株やバリュー株(割安株)に注目する投資家は、E-mini Russell 2000オプションを注視することになるでしょう。米ドルの為替変動による指数への影響を抑えて取引したいと考える層にとって、収益源がより国内(米国)に特化しているラッセル2000指数の構成銘柄はメリットがあります。対象となる株価指数にかかわらず、短期オプションの台頭は大きな市場の変化を象徴しており、CMEグループの株価指数オプション・ラインナップによって効果的に活用されています。
E-miniオプションの成長トレンドを補完する形で、Micro E-miniオプションも大型のE-mini商品と同様に、週5日すべての営業日で満期が設定されるようになりました。このオプションは、ベンチマーク指数に基づき、小型で幅広い戦略に対応でき、従来のE-mini指数オプションの10分の1の規模です。市場をリードする指数を手頃な想定元本で取引でき、エクスポージャーを微調整できる手段となります。
2025年には約600万枚のMicro E-miniオプションが取引されており、週の全営業日でMicro E-miniオプションでエクスポージャーを微調整してヘッジできるようになったことで、小口トレーダーもE-miniオプションのトレーダーと同等の柔軟性と精度で取引できます。Micro E-mini S&P 500オプションのADVは約1万6,000枚、Micro E-mini Nasdaq-100オプションのADVは約7,700枚に達しています。流動性が高く効率的な市場エコシステムの中で、小型商品も取引できるようになりました。
要約すると、CMEグループの株価指数オプションには、さまざまな時間軸で戦略を執行できる柔軟性を備えています。市場イベントは常にリスク管理の必要性を生み出すものです。CMEグループでは指数や満期の選択肢を幅広く用意しているため、トレーダーは、リスクの発生に応じてエクスポージャーをヘッジする手段を活用できます。
CMEグループの株価指数オプション商品の一覧については、cmegroup.com/equityoptionsをご覧ください。