昨年11月の米大統領選以降の4ヶ月間、FXマーケットは過去10ヶ月と比較して、きわめて高いボラティリティで推移してきました。新政権が発表した主要政策は、世界貿易の秩序を揺るがす広範な取り組みも相まって、G7および新興国市場も含めて様々な為替レートに大きな変動をもたらしました。中でもEUR、CAD、CNHなどではボラティリティが40~60%も上昇しています。
しかし、FXマーケットのボラティリティが高まり為替レートの日々の変動幅が拡大したことは、市場参加者に取引機会を提供することにもなります。特に、先物市場の日々の変動幅の平均とbid-askのスプレッドの平均を比べることによって、新たな金融商品を検討しつつ収益獲得の機会を狙うことができます。
| ボラティリティ | レンジ/スプレッド 比率 | |||
|---|---|---|---|---|
| 2024年1~10月の 10ヶ月間と2024年 11月~2025年2月の 4ヶ月間の ボラティリティの増加率 |
2024年1~10月 | 2024年11月~2025年2月 | 変化率 | |
| EURUSD | 61% | 85.3 | 130.65 | 53% |
| USDJPY | 3% | 105.54 | 100.2 | -5% |
| AUDUSD | 16% | 85.3 | 88.95 | 4% |
| GBPUSD | 27% | 67.24 | 80.65 | 20% |
| USDCAD | 42% | 57.91 | 72.62 | 25% |
| USDCNH | 40% | 16.38 | 23.91 | 46% |
*レンジ/スプレッドとは、CME FX先物市場における1日の取引レンジの平均を1日のBid-Askスプレッドの平均で割ったもの。取引レンジは、その日の取引の高値から安値を引いた値で定義される。
出所:取引レンジとスプレッドのデータ:CMEグループ;ボラティリティのデータ:ブルームバーグ
CMEグループのFX先物とオプションは、厚みのあるオーダーとファームプライス、および誰に対しても匿名性が担保されているので、参加者はボラタイルなマーケットでも自在に取引できる流動性を市場にもたらしています。EURやCADなどボラティリティが急騰した通貨の出来高も急増しており、これらの通貨のFXオプションの出来高も大きな伸びを示しています。
FX先物・オプションの1日平均出来高(ADV)は、想定元本ベースで1,010億ドルに達しています。これは2025年の年初来3月18日までの期間では前年同期比17%の増加となりました。G5通貨については以下をご参照ください。
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1日平均出来高 |
1日平均出来高 |
1日平均出来高 |
|---|---|---|---|
|
EURUSD 先物・オプション |
35,906 |
42,245 |
18% |
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JPYUSD先物・オプション |
15,649 |
17,773 |
14% |
|
AUDUSD先物・オプション |
7,369 |
7,475 |
1% |
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GBPUSD先物・オプション |
9,049 |
10,497 |
16% |
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CADUSD先物・オプション |
6,696 |
9,986 |
49% |
出所: CMEグループ
- FXオプションの出来高は前年同期比で87%の増加、先物の出来高は想定元本ベースで14%増となりました。
- 出来高の伸びが著しかったのはEURとCADのオプションで、それぞれ125%と170%増でした。JPYオプションは60%の増加でした。
- JPYオプションでは3月17日に77億ドルという史上最高の出来高を記録しました。
- CADの先物もこの期間中に45%増加しています。