ボランタリー・カーボンオフセットとは基本的にはバウチャー制(引き換え)のようなものです。企業は二酸化炭素排出量の削減目標に向けて活動する中で、バウチャーを併用して各企業の排出目標の達成を可能にしています。ボランタリー・エミッション・オフセット市場全体がそうした需要に応じて成長を続ける中、特定のカテゴリーや市場に対応する個別のオフセット量が決められています。

CBLマーケットとの提携によって、CMEグループが提供する一連のグローバル・エミッション・オフセット(GEO)先物は、炭素排出量を管理する企業に選択肢と柔軟性を与えています。この3つの先物商品は、それぞれやや異なる市場セグメントを対象としています。各商品がどのようなニーズに適しているのか、その特徴を比較してみましょう。

先物取引のフレームワーク

CBL自然ベース・グローバル・エミッション・オフセット先物(NGO)は自然を対象とします。これは登録機関であるヴェラ・レジストリのカーボンスタンダードの基準に沿ったもので、特定の気候変動、地域社会、生物多様性についての基準を満たすものです。

従って、このオフセットは、農業、森林業をはじめとする土地利用の分野から発生します。

CBLグローバル・エミッション・オフセット先物(GEO)とCBLコア・グローバル・エミッション・オフセット先物(C-GEO)は、どちらもテクノロジーに基づくプロジェクトを対象としたもので、農業、森林業などの土地利用に基づくプロジェクト(AFOLU)は対象にしておりません。一方、この2つの商品の違いは、対象となる炭素の排出基準を決めるフレームワークが異なることから生じています。

GEOのフレームワークは、国際民間航空機関(ICAO)が採用する「国際航空のためのカーボンオフセットおよび削減スキーム」(CORSIA)に沿って作られました。

CORSIAが目指すものは、航空産業における温室効果ガス排出量の削減です。技術的な進歩や持続可能な航空燃料の使用だけでは削減できない二酸化炭素の排出を、炭素市場を利用することで相殺するのがCORSIAの役割です。

C-GEOは、自主的炭素市場の拡大に関するタスクフォース(TSVCM)が提唱するコアカーボン原則(CCP)に基づく商品です。CCPはAFOLUに含まれない技術的なプロジェクトを対象としています。よって、そのプロジェクトの対象は多岐にわたり、革新的な再生可能エネルギーの生産に関わるものから、建設、輸送、エネルギーの供給、さらには家畜や肥料の管理も含まれます。

こうした基準のもとで認証を受けたプロジェクトはすべて、GEO、NGO、C-GEOが取り扱うカーボンクレジットのリスト保管している公認の登録機関が検証しています。

この3つの先物のいずれも、ヴェラ・レジストリ(Verra Registry)での受け渡しが可能です。それぞれのフレームワークで基準を満たしたプロジェクトには、一定量のカーボンクレジットが付与されます。ヴェラ・レジストリは、そのクレジットの開始時点から満了あるいは取り消しを受けるまでモニターしています。ヴェラ・レジストリが認証および登録したカーボンクレジットは、CBLのような指定された炭素取引所で取引をすることが出来ます。

GEO先物の場合は、ヴェラ・レジストリの他に2つのレジストリからの受け渡しも可能です。その2つとは、アメリカン・カーボン・レジストリ(ACR)と気候アクション・リザーブ(CAR)です。クレジットの登録は1つの登録機関に限定されており、一度レジストリに登録されたクレジットはそのレジストリが全期間をモニターします。

それぞれのカーボンクレジットには特定のヴィンテージが付与されます。カーボンクレジットのヴィンテージとは、そのクレジットが発行された年、または温室効果ガスの排出が始まった年を指します。これは投資家がプロジェクトの価値を判断する参考となります。ヴィンテージが古ければ、そのプロジェクトに関わる排出も古いことになり、新しいヴィンテージは最近のプロジェクトということがわかります。

CMEグループのエミッション・オフセット先物取引は、ヴィンテージの年を特定してカーボンクレジットを売買することが出来ます。ヴィンテージの年は契約ごとに異なっており、GEOの場合、ヴィンテージはCORSIAに準じています。ヴィンテージ年の適用はCORSIAの基準が変更されると、それに応じて変わります。NGOとC-GEOの場合はロール制を採用しています。つまり、ヴィンテージ年は毎年更新され、ヴィンテージ対象の期間が6年になるよう毎年ロールオーバーされています。

この3つの先物商品にはそれぞれ異なる特徴がありますので、それぞれの炭素削減に対する取り組みと目標に最適な商品を選んで取引することが出来ます。これらのエミッション・オフセット先物の詳細については、cmegroup.comをご覧ください。

知識チェック

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