あらゆる先物取引の出来高は公表されています。出来高とは一定の時間内にどれだけ先物取引が行われたかを計算したものです。1日分や日中の特定の時間帯など、さまざまな時間枠の出来高を知ることができます。
買いであれ売りであれ、先物が取引されると、その銘柄の出来高にカウントされます。
例えば、あるトレーダーがES先物を1単位買ってショートポジションを閉じたとすると、ESの出来高は1枚加算されます。
トレーダーは先物の出来高の状況を取引の意思決定の参考にしたり相場観の材料にすることがよくあります。
出来高からは次のような重要な情報が得られます:
- トレーダーが取引に関心のある先物の価格水準を示します
- ロールの期間中、満期を迎えた当月限の出来高が減少することで、翌限月にロールすべきタイミングを知らせてくれます
- 日中で最も流動性がある時間帯を特定することができます
価格水準
先物価格がある水準に近づくと出来高が変化するような場合は、相場が方向転換する予兆です。トレーダーによってはこの情報をその水準で売買すべきかの判断材料に使います。
先物のロール
先物のロールオーバーの期間、トレーダーはどちらの限月の出来高が多いかに注目しています。
つまりこの情報をもとに翌月限の取引を開始すべきタイミングを決めているのです。当月限の出来高が減少すると、取引は翌限月にシフトします。
例えば、EミニS&P500先物の6月限がもうすぐ満期を迎え9月限が当月限になる時期だとします。
限月交代の木曜日の週、6月限の出来高が減少し始め、9月限の出来高が増える様子に注意しましょう。9月限の出来高が6月限を上回った時が9月限に切り替えるタイミングとなるのです。
取引の活発な時間帯
トレーダーは出来高が多い時に取引するのを好みます。なぜなら、多くのトレーダーが活発に売買に参加している証拠だからです。出来高が多い時は通常ビッド・アスクのスプレッドが狭く、約定も早く、指値間のギャップも少なくなります。
例えば、米中部時間の午前11時~午後1時までの時間帯や重要な経済指標の発表前には出来高はあまり多くありません。市場の寄り付きや引けの時刻や、主要な経済指標の発表直後は取引が集中して出来高が増えます。
また、もっと長い目で数週間や数ヶ月間の1日平均出来高を見て、現在の市場が通常より活発かどうかを比較することもできます。
まとめ
取引が買いか売りか、また新規建てか手仕舞いかは出来高からは分かりません。
例えば、今2375で取引されていたES先物の価格が出来高を伴いながら突然2360まで下がったとします。これから何がわかるでしょうか?この時点で発生した出来高は、この価格が重要なサポート水準と判断したトレーダーが新規のロングポジションを作ったからかもしれません。その場合は強気のシグナルということになります。
2360での出来高の急増は必ずしも買い手の登場というわけではなく、この価格で相場が反転するわけではありません。
各先物銘柄の出来高は簡単に手に入り、市場全体についても同様です。出来高情報をどう解釈して使うかはトレーダーによって異なりますが、出来高は取引の意思決定に役立つ重要な要素です。