投機家とは何か?
投機家は先物市場における主要な参加者です。利益を上げるためにリスクを取る個人または業者のことを投機家と呼びます。安く買って高く売ることで投機家は利益を上げることができます。先物市場の場合は、先に売って後から安く買い戻すことも可能です。
もちろん、先物市場で利益を上げることは口で言うほどたやすくはありません。先物市場に利益目的で参加している投機家にはさまざまなタイプがあります。例を挙げると、個人トレーダー、自己勘定取引業者、ポートフォリオ・マネジャー、ヘッジファンド、マーケット・メーカーなどです。
個人トレーダー
自己資産で取引する個人トレーダーにとって、電子取引が価格や情報を得る上で取引環境の改善に役立っています。取引執行の迅速さや容易さに加え、最新のリスク管理ツールも利用できるため、個人トレーダーでもかつて機関投資家しかできなかった市場や戦略にアクセスできるようになっています。
自己勘定取引業者
自己勘定取引業者はプロップと呼ばれていますが、その会社のトレーダーが市場で取引した結果がすべて会社の損益になります。プロップ業者はトレーダーを教育し、日々大口売買ができるように資金を提供します。トレーダーは会社から供給される資金で、自己アカウントで取引するよりも大きな売買ができます。また、大手機関投資家が作り上げたものと同様のリサーチレポートや戦略を利用できる場合もあります。
資産運用会社
資産運用会社のポートフォリオマネジャーは、投資信託やETF、年金基金などの資産の投資やヘッジを担当します。それらのファンドの投資戦略を実行し日々の取引を管理します。先物市場はポートフォリオの全体的なポジションの調整のために使われることが多く、そうすることによって多大な労力をかけて構築したポートフォリオの微妙なバランスを崩さなくて済むのです。
ヘッジファンド
ヘッジファンドは高度な投資戦略を駆使してリターンの最大化を目指す投資ファンドで、収益目標は絶対的なリターンの場合や決められたベンチマークを上回る成績の場合があります。その名の由来は、最初のヘッジファンドが弱気マーケットのリスクに対してショートポジションを取ることでヘッジしたことから来ています。今ではリターンの最大化のために数百もの異なる投資戦略を採用するヘッジファンドが存在します。先物市場は商品が多様でかつ流動性も高いので、ヘッジファンドはそれを利用して大口取引を執行したり、ファンドの保有ポジションを調整しています。
マーケットメーカー
マーケットメーカーは取引業者で、市場に常時売値と買値を提示して流動性を供給する契約と引き換えに、取引手数料のディスカウントを受けている会社です。取引市場全体の中でマーケットメーカーは重要な役割を果たしており、大口注文があっても価格に大幅な変動が起きないように円滑な取引執行に貢献しています。マーケットメーカーの収益は、通常は大量の取引をこなすことでビッドとオファーの価格差のスプレッドから得ていますが、裁定取引が可能と判断した場合は、関連する他の先物商品を取引することで利益を上げる場合もあります。
まとめ
さまざまなタイプの投機家が先物市場に流動性をもたらしています。流動性は市場にとって非常に重要な要素で、これによってそれぞれが市場に参入したり退出したりすることが可能になります。投機的な取引は流動性を生み、あらゆる市場参加者にとってメリットとなります。マーケットリスクを取って利益を上げようとする投機家がいる一方で、その先物が参照している商品の価格変動に利害関係のある売り手や買い手もいます。そうした人たちは価格リスクの相殺や排除を目的に先物市場に参加しており、ヘッジャーと呼ばれています。