ビットコイン先物 – リスク概要

一般的な投資と金融リスク

リスク

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投資リスク

ビットコイン先物(BTCs)はデリバティブ商品であり、全ての投資家に適切な商品であるとは言えない。先物はレバレッジプロダクトであり、契約相当額の数パーセント(%)の資金で取引が可能である。そのため、取引のために拠出した資金の額を超える損失が発生する場合もある。取引に際しては生活様式を維持していくのに影響しない程度の資金を用い、全ての取引が必ず利益をもたらすとは限らないことから、各取引はこの資金の一部を使って行うべきである。先物取引には、極めて高いボラティリティ、レバレッジ、限月交代、証拠金、決済など、特定のリスクが存在する。また、源市場のビットコインとその先物の価格が完璧な連動関係にならない場合もあり得る。BTCsに関しては、投資資金の大部分、または全てを失う可能性もある。従って、投資家としては、BTCsの投資リスクを負う余裕があるかどうかを、慎重に検討する必要がある。

投資目的に関するリスク

BTCsの取引に参加する投資家の投資目的が、達成されるという保証はない。秩序ある取引の促進に寄与するため、価格制限などの規則を実施するのはCMEグループの意図ではあるものの、こうした管理方法が必ず功を奏するという保証はない。

価格の連動性リスク

デリバティブとしてのBTCsの価値は、公表されるビットコインの価格に連動しない可能性がある。 BTCsは、具体的に特定されたビットコイン取引所で取引されるビットコインの取引実績をインデックス化したBitcoin Reference Rate( "BRR")に基づいている。 BTCsの価値は、将来の時点、具体的にはBTCsの満了日におけるBRRを対象としている。従って、公表されるビットコインの今日の価格変動は必ずしもBTCsの価格変動と連動するものではない。また、BTCsは特定のビットコイン取引所の取引実績をインデックス化したBBRに基づいて価格形成される商品であることから、BTCsの価格は公表されたビットコインの価格から大幅に乖離する可能性もある。

さらに、BTCsは新規上場商品であるため、この先物とビットコイン価格との連動性は非常に不確実でもある。また、BTCsの取引参加者が、資本規制、安全性リスク、または高い取引執行コストなどの制約に直面した場合、BTCsの価格動向は源市場であるビットコインの価格動向を補足できなくなる状況も考えられる。    

価格の地域性に関するリスク

管轄区域毎に、ビットコインや他の仮想通貨の取引が存在する。それぞれの国において仮想通貨を取引する環境が異なることから、こうした取引所におけるビットコインの価格設定が異なる。投資家としては、BRRの対象となる取引所(「構成取引所」)を確認し、こうした取引所に関して熟知しておく必要がある。BRRを計算する方法論とBRRの基本規則は、CMEグループのウェブサイト(http://www.cmegroup.com/trading/files/bitcoin-reference-rate-methodology.pdf)に記載されている。また、BRRの構成取引所の基準と方法論も、CMEグループのウェブサイトに記載されている。

価格ボラティリティ

株式、債券、その他の代替え投資商品と比較した場合、ビットコインの価格ボラティリティは極めて高いものとなっている。BTCsに関しても、価格ボラティリティは高いものと予想される。

Bitcoinの固有価値

ビットコインについては、明確な固有価値が存在しない。ビットコインはまた、伝統的な資産ではない。最終的に、ビットコインは認知されるに至らず、価値の単位や通貨として扱われることはないかもしれない。ビットコインの取引に関しては、中央銀行や規制当局の関係者を始め、市場参加会社の幹部や学者などが、極度に高いボラティリティや経済的価値が欠如していること、規制が行き届いていないこと、マネーロンダリングや匿名による資金移動などを指摘して、高リスクであることを警告している。技術進歩に伴う価格リスクや仮想通貨のプロトコル改善に加えて、こうした指摘事項が単体で、または複数が作用し合うことで、政府や規制当局による市場介入が実施されたりすれば、ビットコインやBTCsの価格形成や市場流動性が大きな影響を受ける場合も実際の可能性として存在する。

流動性リスク

BTCs は新しいタイプの先物であり、2017年12月18日の上場以前に取引やオペレーションなどの過去データが存在しない、開発段階の商品である。従って、BTCsのリスクは高く、流動性は限定的である一方、ボラティリティは高く、経済や政治、市場、業界、規制を始めとして、その他の多くの分野の変化に対して、より確立された先物商品に比べて、脆弱であることが予想される。

 

BTCsの市場流動性は、その他の要因もあるが、この商品に関する需給、ビットコインの導入度合い、商業的、投機的な取引需要、さらには、取引所取引されるBTCsを使ったビットコインのヘッジ需要などに依存することになる。

カウンター・パーティー・リスク

原資産のビットコインの取引に関して、 カウンターパーティーが契約上の義務を果たすためのタイムリーな支払いを拒む、または支払いができないリスクがあります。ビットコイン取引に関して、カウンターパーティが破産やデフォルトを起こした場合、ビットコインの売り手 が受け取る資格のある全額を受け取れない場合があります。

取引時間と価格制限

投資家、そして潜在的な投資家は、取引時間外でBTCsの売買を行うことは出来ない(現状、CME GlobexとCME ClearPort: 午後5時‐午後4時 米国中央時間 日曜日‐金曜日)。さらに、(前日比で)7%、13%のBTCs価格の変動があった場合、一時的に取引は休止される。BRRから20%を超えた価格帯での取引は許可されない。

口座リスク

 

銀行などの金融機関に開設され、預金保険の対象となっている預金口座とは異なり、自ら、個人的に措置を講じない限り、BTCsはこうした保険の対象とはなっていない。その口座に損失が生じた場合、これをBTCsの投資家に保証するため、CMEグループが公的、または民間の保険を用意しているという事実はない。

Bitcoinに関連するリスク

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Bitcoinに対する公的関心の欠如

 

銀行は金融サービスを提供しないかもしれないし、ビットコイン関連のサービスを展開し、これを支払いとして受け取る企業に対して、銀行は金融サービスの提供を停止するかもしれない。こうしたことは、ビットコインの公的な認識や仮想通貨としてのビットコインの機能性に悪影響を及ぼし、ビットコインの価格や流動性を低下させる可能性がある。その派生商品であるBTCsについても、同様である。

ビットコイン関連のサービスを展開している企業には、口座開設や金融サービスを提供する銀行が見付けられないでいる企業も多い。同様に、こうした中には、銀行によって既存口座を閉鎖させられた企業もある。ビットコイン関連のサービスを展開し、またはこれを色々な理由から受け付けている企業に対して、銀行はコンプライアンス上の潜在的な問題やコストなどを理由に、口座を始めとする金融サービスの提供を拒否する可能性がある。ビットコイン関連のサービスを展開している企業が直面するこうした問題は、仮想通貨としてのビットコインの利便性と共に、公のビットコインに対するイメージを低下させる可能性がある。同様に、ビットコイン関連のサービスを展開している企業の口座の多くや、主要な、いくつかの口座を閉鎖するとすれば、仮想通貨としてのビットコインの利便性や公のビットコインに対するイメージは悪影響を受ける可能性がある。こうした要因は、ビットコイン取引における価格や流動性を低下させる可能性があり、BTCsの価格や流動性に悪影響を及ぼす可能性がある。

競争リスク

資産としてのビットコインは現在、他のデジタル資産に対して「先行者の利」を得ている。この有利さが結果として、他のデジタル資産に比べて、ビットコインのネットワークを最も発達したものにしている。最大の参加者ベースを有し、総採掘力が最も高いことから、ビットコインのブロックチェーンを維持するための安全性が維持されている。高い採掘力は、システムの安全性やビットコインネットワークの長期的な安定性に関して、取引参加者からの信頼性を得るものとなっている。こうした背景はデジタル資産としてのビットコインネットワークをより安全なものにしており、その魅力を一段と高める結果となっていて、それが参加者と採掘者を増加させる要因ともなるなど、好循環を生んでいる。ただ、他のデジタル資産に対して「先行者の利」に浴してはいるものの、ビットコインネットワークの現実的、または感覚的な欠点は、テクノロジーや規制の動向次第で、ビットコインやそのネットワークに対する寛容さや人気が低下する場合も考えられる。その意味では、他のデジタル通貨や取引ネットワークの中から、ビットコインネットワークよりも幅広く受け入れられ、利用されるものが出現する可能性もある。

予期できないリスク

 

ビットコインの機能は比較的新しく、完全に検証されたものではない。ここで具体的に提示したリスク 以外にも、ビットコインやBTCsの購入や保有に関して、CMEグループが現状で想定できないものもあり得る。こうしたリスクに関しては、予期されなかった種類のリスクが発生する場合もあれば、ここで示したリスクが複合して、全く別の形で発生する場合もあり得る。

規制と監督に関するリスク

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規制一般に関するリスク

ビットコインなどの仮想通貨に関する規制環境は、依然としてその初期段階にある。現行の法律や規制の適用と解釈については、そのほとんどが未検証であり、その運用については確定性が乏しい状況となっている。将来的には、ブロックチェーンや仮想通貨に対して新しい法律や規制が用意されるとも考えられるが、こうした規制変化がビットコインやBTCsに悪影響を与える可能性もある。また、こうした変化がビットコインやBTCsの価格や流動性にどう影響するかは、予想することが出来ない。

仮想通貨やデジタル通貨の特性には、マネーロンダリング防止とテロ資金対策("AML/CTF")に関するリスクを高める可能性があるものがある。例えば(以下だけに限らず):

  • インターネット上での仮想通貨取引に関する匿名性;
  • 参加者の身分証明に関する情報やその確認が限定的;
  • マネーロンダリング防止/テロ資金対策("AML/CTF")に関する責任の所在が不明確であり、こうした取引に対する監督や規則の執行が数か国に細分化されている;  さらに

·        中心的な監督機関が存在しない、

ビットコインに関しては将来的に、より厳格なAML/CTF 規制が適用される可能性もある。

既存の法律や規則を、ビットコインの相互決済、最終決済、送金、売却などの課題にどう適用するかについては、前例が限られている。また、ビットコイン保有者間の権利や義務の扱いに関しても、既存の法律や規則の適用前例は限定的であり、こうした法律や規則が将来的にどう整備されるのかも見通しにくい。こうした課題に起因する問題や争議が発生したとすれば、ビットコインやBTCsの価格や市場流動性に悪影響を及ぼし、その資産的価値を抹消してしまう可能性もある。

ビットコインやBTCsに対して、規制が及ぼす影響を予想することは、必ずしも不可能ではない。悪影響が及ぼされる状況は数々あるが、例えば(遡及的、または将来的に)ビットコインを統制された金融商品と認定し、登録や免許を要する商品とすることも考えられる。ビットコインの取引所にサービスを提供している会社は、継続して商業的な利便性があることから、または、法律的な禁止措置によって、特的の国籍やアクセス・ポイントからの取引参加者に対して、サービスの提供を拒否する様になる可能性もある。こうしたことは、ビットコインやBTCsの価格や市場流動性に具体的な影響を及ぼすことになる。

国別規制リスク

政府による規制への取り組み、学者やビットコイン経済参加者からの統一的な法案提言は、ビットコインの使用に影響を与えることになる、または、ビットコインネットワークの運営に作用して、BTCsに悪影響を及ぼす可能性がある。

ビットコインやその他のデジタル資産が人気を集め、その市場規模が拡大するにつれ、米国連邦政府や州政府、外国政府、自主規制機関は、ビットコインのオペレーション、デジタル資産、ビットコインネットワーク、ビットコインユーザー、およびビットコイン取引所の検証を始めている。

ビットコインやその他のデジタル資産のグローバルな規制環境には一貫性が乏しい一方、その環境は進化を続けている。一部の国ではデジタル資産に対して寛容な規制アプローチが採用されている一方、その使用が禁止されている国もある。国によって、様々なアプローチが存在する。また、管轄区域が異なれば、ビットコインを通貨やコモディティ、仮想通貨、仮想コモディティ、またはその他の資産や商品として特徴付け、異なる法的分類が適用される場合もある。管轄区域によっては、ビットコイン関連の活動を制限、または禁止している場合もある。

ビットコインやデジタル資産、そしてその関連プロダクトやサービスに対する規制は進化を続けている。。一貫性に乏しく、ときとして矛盾する規制環境によって、ビットコインビジネスのサービス展開を必要以上に難しくさせ、ビットコイン経済の成長を妨げることで、消費者のビットコインの受け入れに悪影響を及ぼす可能性がある。将来的には、BTCs投資の本質に関わる様な、実質的なものに及ぶ規制変更もあり得る。さらに、ビットコインが証券や商品、その他の規制資産として位置付けられる場合もあるし、米国や外国の政府、当局、または準政府機関が、ビットコインネットワークやビットコインの取引、保有に関して管理権を発動する場合も考えられる。こうした場合、BTCsが悪影響を受ける可能性がある。ビットコイン規制には様々な形や意図があることから、ビットコインとそれを使用ことが受ける影響も様々、と言うことになる。

Bitcoinの法的ステータスに関するリスク

ある国や国々においては現在、または将来的に、ビットコインの取得、所有、保有、売却、または使用が違法とされる可能性もあり、こうした場合、ビットコインやBTCsの価格や市場流動性は悪影響を受けることになる。

一方、ビットコインについては現状、多くの国において規制されていない、または、限定的な規制対象となっている。ただ、既に数か国で断行されている様に、将来的にその他の国々もビットコインの取得や所有、保有、売却、使用、または伝統的な通貨への両替について、厳しい制限を適用する可能性もある。こうした規制の動きは、ビットコインやBTCsの価格や市場流動性に悪影響を及ぼす可能性がある。

知的財産権に関するリスク

知的財産権に関する請求は、ビットコインネットワークの運営に悪影響を及ぼす可能性がある。

ビットコインネットワークは現在、コア開発者によって管理されており、このネットワークを所有している単体は存在しない。しかしながら、第三者によってビットコインネットワークの運用に関する知的財産権が主張される可能性がある。知的財産権やその他の法的措置の利益性とは無関係に、ビットコインネットワークの長期的な存続可能性に対する信頼を低下させる様な威嚇行為、またはビットコインの保持、転送に関して懸念を生じさせることは、ビットコインの価格と流動性に悪影響を及ぼし、 BTCsに影響を与えると考えられる。さらに、実効性のある知的財産権の要求は、エンドユーザのビットコインネットワークへのアクセス、さらにビットコインの保持や転送を妨げる可能性があり、BTCsの価値に悪影響をもたらすことも考えられる。

税制リスク

一部の管轄区域では、ビットコインとBTCsの税務特性が不確定であり、ビットコインの税制上の取扱いに関する慣例は限定的で、ビットコインの派生商品に関して直接権限を有する規制当局は存在しない。BTCsの購入に際して、取引参加者は独自の税務アドバイスを求めるべきである。BTCsを購入することによって、源泉徴収税、所得税、税務申告義務など、取引参加者には税務上の負担が生じる可能性がある。

Cyber リスク

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詐欺やセキュリティ違反に関するリスク

ビットコイン取引所は比較的新しく、多くの場合ほとんど規制されていないため、確立され、規制対象となっている取引所に比べて、詐欺やセキュリティ違反にさらされる可能性が高い。こうしたことは、BTCsに悪影響を及ぼす可能性がある。 また、取引の匿名性が背景となって、ビットコイン取引所は市場濫用活動の影響を受けやすい上に、こうした行為を摘発するためのモニタリング機能が必ずしも設けられていない可能性もある。こうした背景から、ビットコインの価格と流動性が歪められ、ビットコイン市場全体の信頼性が影響を受ける可能性がある。

ここ数年の間に、詐欺や技術的障害、セキュリティ侵害、または政府の規制のために、多くのビットコイン取引所が閉鎖に追い込まれている。保管されている資産の特性が、ハッカーにとってビットコイン取引所を好ましい標的とさせている背景がある。多くのビットコイン取引所が、サイバー犯罪の犠牲者となっている。こうした事例の多くでは、犠牲になったビットコイン取引所の顧客に対する補償は行われず、被害を受けた口座の損失が補填されることはなかった。ビットコイン取引所はこうしたリスクを完全に回避することは出来ないが、一方で、こうしたリスクの存在は、ビットコイン取引所への新規参入における障壁を高める結果ともなっている。ただ、新規の、より小規模のビットコイン取引所とビットコイン取引所市場全体に対する信頼の喪失は、大衆によるビットコインの受け入れプロセスを遅延させる要因となる可能性がある。さらに、ビットコイン取引所市場やビットコインエコシステムのその他の主要部分における障害は、ビットコインネットワークに影響を与え、ビットコインの価格と流動性に悪影響を及ぼし、BTCsに悪影響を及ぼす可能性がある。

ハッキングとセキュリティの脆弱性に関連するリスク

ハッカーやその他の悪意のあるグループや組織は、マルウェア攻撃、サービス拒否攻撃、協調攻撃、Sybil攻撃、スマッフィング、スプーフィングなど、さまざまな方法でビットコイン取引所やCMEグループに干渉しようとする可能性がある。こうした事実は、 BTCsの価格と流動性に影響を与える。

テクノロジーの使用頻度が高まっていることから、サイバー攻撃は、運用上および情報セキュリティ上のリスクとなる。ビジネスで必要となる機能を実行する上では、インターネットなど、テクノロジーの使用頻度の高まりとコンピュータシステムへの依存が不可欠となっており、ビットコインやBTCsは、運用上および情報セキュリティ上のリスクにさらされていると言える。一般に、サイバーインシデントは、意図的な攻撃、または意図しなかったイベントによって発生する。サイバー攻撃には、資産や機密情報を不正に流用したり、データを破損したり、業務上の混乱を招いたりする目的で、デジタルシステムへ不正にアクセスする場合が含まれるが、これに限定されるものではない。サイバー攻撃は、ウェブサイトでのサービス不能攻撃を引き起こすなど、不正アクセスを必要としない方法で実行することも可能である。サイバーセキュリティの失敗、またはサードパーティのサービスプロバイダ(インデックスプロバイダ、管理者、転送エージェントなど、ただこれに限定されない)の違反行為は、ビットコインおよびBTCsに悪影響を及ぼす可能性がある。

Bitcoinへのハッキングに関するリスク

悪意のある行為者やボットネット(コンピュータの行動を調整するネットワークソフトウェアによって制御されるボランティアまたはハッキングされたコンピュータの集合)が、ビットコインネットワーク上の採掘(マイニング)専用の処理能力の大部分を取得した場合、ビットコインネットワークとほとんどのビットコイン取引が執行されているそのブロックチェーンを、不正ブロックを構築したり、特定の取引が適切な時間内に完了しないようにしたり、完了しないようにしたりすることによって、変更することが可能となっている。悪意のある行為者やボットネットは、新しいビットコインやそれに伴う制御を用いてトランザクションを生成することは出来ないものの、トランザクションの順序付けを制御、除外または変更することは出来る。また、悪意の行為者は自分のビットコインを「二重に使う」(複数の取引で同じビットコインを使う)など、制御を維持している限りにおいて他のユーザーの取引確認を妨害することが出来る。ただ、このような悪意のある行為者やボットネットがビットコインネットワークにおける処理能力を放棄しない限り、また、ビットコインコミュニティが不正ブロックを悪意があるものとして拒否しない限り、ブロックチェーンに対して成された変更を元に戻すことが出来なくなる可能性がある。

ネットワーク上の処理能力の50%以上を制御することによって達成されるブロックチェーンの悪意のある活動や制御に関する報告は、これまでない。ただ、特定のマイニングプールでは、50%の基準値を超えている可能性がある。 50%の基準値を超えている可能性があることは、特定の単体であるマイニングプールが、ビットコインの売買検証に権限を与える可能性が高いことを示している。コア開発者やマイニングプールの管理者を含むビットコインのエコシステムが、ビットコインのマイニング処理能力を一段と分散化させる行動を取らない限り、ビットコインネットワーク上の処理能力の制御能力を支配してしまう悪意のある行為者が生まれる可能性は高まる。これは、ビットコインおよびBTCsの価格および流動性に重大な影響を与える可能性がある。

潜在的な「フォーク」に関するリスク

「フォーク」をもたらす変更を含めて、ビットコインネットワークの変更がBTCsの価格と流動性にどのように影響するかは明確ではない。以前にはビットコインネットワークもフォークされていたため、別々の独立したネットワークとして動作する別々のデジタル通貨で新しいブロックチェーンが構築されている。ビットコインネットワークの容量を増やすための提案が複数あり、こうした提案のうちの1つ以上がネットワークの「フォーク」をもたらす可能性がある。このような変更は、BTCsの価格および流動性に影響を与える可能性がある。特に、「フォーク」に続くBTCsの価格と流動性は、総価格と流動性ではなく、ある特定のビットコインネットワーク単体の取引結果に連動したものとなる可能性がある。ビットコインを直接保有する投資家が全てのビットコインネットワークの取引結果に関与していたとしても、結果は同じである。ただ、BTCsの保有者は、「フォーク」に参加する資格を有しない。

Bitcoinのデジタル開発に関するリスク

コア開発者や他のプログラマーは、ビットコインネットワークのプロトコルとソフトウェアの修正案を提案する可能性があり、これがビットコインネットワークコミュニティによって承認されれば、BTCsの投資に悪影響を及ぼす可能性がある。

ビットコインネットワークは、暗号プロトコルを使用して、ビットコインネットワークに接続されているコンピュータ間のP2P交信を管理している。このプロトコルの記述コードは、ビットコインネットワークの作成者とされる中本聡が、最初に非公式に任命したコア開発者のチームによって非公式に管理されている。コア開発者のメンバーは、主にGithub.comのBitcoin専用のリソースセクションに参加して、時間の経過と共に進化していく。コア開発者は、ビットコインネットワークのプロトコルとソフトウェア、およびビットコインのプロパティを変更するソフトウェアアップグレードによって、ビットコインネットワークのソースコードの修正を提案することができる(トランザクションの不可逆性や新しいビットコインのマイニングに関する制限など)。アップグレードの提案や関連する議論は、GitHub.comやBitcointalk.orgなどのオンラインフォーラムで行われる。ビットコインネットワーク上のユーザーと鉱夫の大多数がそのようなソフトウェアアップグレードをインストールした場合、ビットコインネットワークには、ビットコインとBTCsの価格と流動性に悪影響を与える可能性のある新しいプロトコルとソフトウェアが導入される可能性が高まることになる。