夏の需要期に生産が下振れするとすれば、原油相場の上昇と在庫縮小につながるかもしれない。原油市場における直近の暴落相場は、米国での劇的な生産拡大と市場シェアの確保を優先するOPECの政策スタンスがその背景となっている(図1)。一方で、先物市場が順鞘となっていることから、先々での売りを目的に市場参加者が低価格な原油を期近で買い込む動きを活発化させ、原油在庫の増加はこれを反映したものともなっている(図2)。さらに、原油と石油製品の価格差(クラック・スプレッド)拡大を背景として、夏の需要期を前に、業者サイドではガソリンなどの石油製品の精製を加速させる状況ともなった(図3)。こうしたことから、WTI原油の価格は現状、1月・3月の安値から30%ほどの反発を見せている。ただ、夏の需要期が過ぎれば、高水準に達している在庫を材料に、原油価格は再び暴落するのだろうか? これに対する答えは、米国の、その意味では世界の、自動車ドライバーが握っているのかもしれない。
これまでのところ、ガソリン価格の低下を背景に、米国内では、自動車の運転距離の長距離化が確認されている。連邦高速道路局(FHA)の統計によれば、総走行マイル数は、前年ベースでおよそ2.3%の増加となっている(図4)。ダイナミックさに欠ける数値かもしれないが、実際には2005年以来の高い増加率なのである。さらに、総走行距離は2007年から2011年まで減少した後、それ以前の高水準を直近で取り戻す状況ともなっている(図5)。
もちろん、総走行距離はガソリン需要の一部でしかない。さらに、自動車の燃費改善も考慮する必要がある。実際の需要は、総走行距離にマイル当たりに要したガソリンの量を乗じることで求められる。環境保護局の統計は、都市部と高速道路の走行を総合した自動車の燃費について、2014年モデルの自動車やトラックは、同様の2007年モデルに対して、17%の燃費改善が成されているとしている(図6)。この燃費改善スピードが続くと仮定し、加えて、ガソリン需要を安定的に推移させるとすれば、総走行距離は毎年、2.5%ほどの長距離化を必要とする計算になる。
原油価格については、年末までにどんな展開になるかを予想するのは難しい。ただ、この相場展開では、原油の在庫水準と総走行距離の推移が主要な材料となるのは明白である。エネルギー市場では現在、EIA(エネルギー省情報局)が発表する週間の石油在庫や生産統計に熱い視線が送られる一方で、連邦高速道路局のデータに対する注目度は低いように見える。将来的には、こちらについても、軽視できない材料となって来るだろう。
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