エネルギー市場の主要プロダクトで拡大を続けるアジアの役割

  • 8 May 2018
  • By Owain Johnson
  • Topics: Energy

グローバルなエネルギー取引の主要なハブとしての成長を着実に続けていることを背景に、世界標準となっているエネルギー市場の主要プロダクトにおいてアジアが果たす役割の度合いは高まり続けている。

過去10年、アジア時間 – シンガポールの午前8時から午後8時と定義 – では、WTI原油、天然ガス (ヘンリーハブ) 、RBOB ガソリン、NY Harbor ULSD (ヒーティングオイル)など、エネルギー市場の主要先物の取引が急拡大を見せている。

こうしたアジア時間帯でのエネルギー先物の取引拡大は、その大部分が、米国でのエネルギー生産増大とアジアでのエネルギー需要の高まりが合致していることを背景としている。米国からアジアへの原油輸出は、2015年12月に米国の禁輸が解除されて以来、大幅に増加している。[1].また、米国からの天然ガス輸出も、パイプラインを通じてメキシコへ、そしてLNG(液化天然ガス)としてアジア地域を含むその他の国々へ、大幅に増大している。[2]

一方で、こうした主要プロダクトにおけるアジア勢の活発な動向は、この地域のトレーダーやユーザーがリスク管理ツールの利用度合いを高めていることを反映しており、同時に、グローバルなデリバティブ市場において、アクティブ・プレーヤーとして彼らの存在感が継続的に高まっていることの証左でもある。

最初にWTI

こうした傾向は、WTI原油先物において、最も鮮明となっている。2015年12月に禁輸が解禁されるまでの数年間、アジア時間のWTI先物への参加率は、全体の7%で非常に安定した推移となっていた。一方、この比率は解禁以来、安定的な上昇に転じ、2018年1月時点の参加率は14%と、倍加するに至っている。

加えて、アジア時間の参加率が倍加したと言うこの事実は、同期間にWTI原油先物自体の売買高が大幅に増加したことを考えると、より象徴的な出来事とも映る。2015年比で、2017年のWTIの日中売買高平均は31%の増加となったものの、アジア時間の参加率はこの大幅な上昇率をさらに上回る伸びを見せたのである。

WTIに関しては、2018年1月のシンガポール時間の日中売買高平均は19万5000枚に達しており、この時間帯のエネルギー・プロダクトとしては、WTIを最も流動性があるプロダクトにしている。

原油先物(CL)のシンガポール時間日中平均取引高 対全体比(%)

そして石油製品

こうしたWTIに対する地域の取引需要の高まりは同時に、石油製品の指標プロダクトに対する取引需要も高めている。こうしたプロダクトは、例えば:RBOB ガソリンやNY Harbor ULSD (ヒーティングオイル)である。WTIほどではないものの、こうした石油製品プロダクトでも、アジア時間の参加率が高まりを見せている。

数年前まで、ずれのプロダクトでもアジアの参加率は3%ほどに過ぎなかったが、直近では、総売買高に対して、RBOB ガソリンでは5%、NY Harbor ULSD (ヒーティングオイル)では4%が、アジア時間での出来高となっている。

ここでも、アジア時間の成長率は世界全体のそれを上回っていて、こうした石油精製品に対する全体の売買高が大きく増加するなかで、アジア時間の売買高比率は拡大を続けている。2018年1月には、RBOB ガソリンで1万500枚ほど、NY Harbor ULSD (ヒーティングオイル)で8,500枚ほどがアジア時間の日中売買高平均となっており、米国を母市場とするプロダクトでありながら、同時間帯に取引されるシンガポールを母市場とするリスク管理プロダクトのいくつかと同規模の市場流動性を有するに至っている。

天然ガス (ヘンリーハブ):ブレイクアウトの予感

米国のシェール革命は、原油市場と同様に、劇的な影響を天然ガス市場にももたらしている。天然ガス市場では、生産量の大幅な拡大と共に、LNG(液化天然ガス)と言う形で、供給先に関しても初めて、大幅な拡大が可能な状況となっている

そして、こうした新しい供給先はアジアがその多くを占めている。ここでは、例えば2月初め、ペトロ・チャイナから、米国のシェニエ―ル・エネジー社がテキサス州の港湾都市、コーパスクリスティに建設するターミナルを介して、米国産天然ガスを25年に渡って買い付ける契約が発表されている。

この契約は、その他の米国からの輸出契約のほとんどと同様に、ルイジアナ州にある天然ガスの集積地(ハブ)であるヘンリー・ハブの価格に連動するものとなっていて、天然ガス (ヘンリーハブ)先物はアジアのエンド・ユーザーにとって、価格リスクを管理するツールとしての重要性を高める結果となっている。

天然ガス (ヘンリーハブ)先物は過去、主要な「4つ」のエネルギー先物の中で、アジアの参加率が最も低いプロダクトだった。ただ、過去18カ月で、この状況には大きな変化が生じている。直近の天然ガス (ヘンリーハブ)先物は、アジア時間帯の参加率と同時間帯の売買高で、過去最高水準を更新しているのである。

数年前には平均で2%ほどしかなかった天然ガス (ヘンリーハブ)先物のアジア時間の参加率は、最近では7%ほどまで高まっており、同時間帯の日中売買高は4万5000枚に及ぶ状況となっている。2020年に向けて、米国産天然ガスの輸出プロジェクトが次々に稼働する予定となっており、アジアの発電需要において天然ガスの役割が増すと考えられる現状を背景に、こうしたアジア時間の流動性拡大傾向は続くと予想される。

結論

そして、グローバル市場の指標となるエネルギー・プロダクトへのアジアからの参加率は既に、過去最高水準となっている。こうした状況の背景には、リスク管理に対する需要がアジアで高まっていること、そして、米国とアジア地域のエネルギー市場の連動性が強くなっていることがある。アジア時間での指標プロダクトの成長は、CMEグループの原油や石油精製品、また天然ガスなどのデリバティブ・プロダクトの大幅な成長を凌駕する勢いとなっている。

天然ガス(NG)のシンガポール時間日中平均取引高 対全体比(%)-

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