エネルギー市場の主要プロダクトで拡大を続けるアジアの役割

  • 16 Oct 2019
  • By Cameron Liao and Paul Wightman
  • Topics: Energy

グローバルなエネルギー取引の主要なハブとしての成長を着実に続けていることを背景に、世界標準となっているエネルギー市場の主要プロダクトにおいてアジアが果たす役割の度合いは高まり続けている。

過去10年、アジア時間 – シンガポールの午前8時から午後8時と定義 – では、WTI原油、天然ガス (ヘンリーハブ) 、RBOB ガソリン、NY Harbor ULSD (ヒーティングオイル)など、エネルギー市場の主要先物の取引が急拡大を見せている。

アジア時間におけるエネルギー先物の取引拡大は、米国でのエネルギー生産の増大とアジアにおける需要の高まりに大きく関係している。中国は2018年後半、長年トップを走ってきた米国を抜き、世界最大のエネルギー輸入国となった1。2015年12月に米国の輸入制限が解除されて以来、米国からアジアへの原油輸出は大幅に増大している2。パイプラインを通じメキシコへ、またLNGとしてアジア太平洋地域を含むその他の国々へ、米国からの天然ガスの輸出も大幅に増大している3

この中核的な先物およびオプション取引におけるアジアの活発な動向は、アジア地域でエネルギーの取引をするトレーダーやユーザーのリスク管理ツールの利用拡大を反映し、そしてグローバルなデリバティブ市場に置いて、アクティブプレイヤーとしてますます活発さを増しているということを示している。

最初にWTI

こういった傾向は、WTI原油先物において最も顕著である。2015年12月に輸出禁止が解除されるまでの数年間、アジア時間におけるWTI先物への参加率は常に全体の7%にとどまっていた。しかしこの比率は解除以来着実に増加し、2019年8月には2倍以上の17%となった。

アジア時間における取引が倍増したという事実は、同期間にWTI原油先物においても大幅な拡大が見られたということを考慮すると、さらに目を引くものであると言える。2018年のWTI取引高1日平均は、2016年のそれを11%上回ったが、しかしアジア時間における参加率は、この驚異的な増加率をさらに上回った。

2019年8月、シンガポール時間におけるWTI日中取引高平均は218,000枚で、これは1年前同月よりも40%の増加である。WTIはアジア時間内で取引される、最も流動性があるエネルギー先物となっている。

チャート1:アジア時間におけるNYMEX先物取引高

情報元:CMEグループ

そして石油製品

こうしたWTIに対する地域の取引需要の高まりは同時に、石油製品の指標プロダクトに対する取引需要も高めている。こうしたプロダクトは、例えば:RBOB ガソリンやNY Harbor ULSD (ヒーティングオイル)である。WTIほどではないものの、こうした石油製品プロダクトでも、アジア時間の参加率が高まりを見せている。

現在では、RBOB総取引高の約7%およびYork Harbor USLD総取引高の6.5%がアジア時間内に取引されているが、これは数年前まではどちらも3%程度であった。

この石油精製品の総取引高が大幅に増加している中においても、アジア地域における参加率は、世界のどの地域をも上回っている。2019年8月には、1日の平均にしてRBOBで約9,700枚、USLDで約11,500枚がアジア時間において取引され、これは米国ベンチマークでのシンガポール時間における流動性が、シンガポールをベースとしたリスク管理商品の1日の取引高に匹敵することを意味している。

天然ガス (ヘンリーハブ): ブレイクアウトの予感

米国のシェール革命は、原油市場同様、天然ガス市場においても劇的な影響をもたらした。生産レベルが著しく向上し、ここに来て初めて、LNG輸出という形でグローバル市場への供給を行っている。このような天然ガスの輸出先はアジアが占めている。天然ガスの取引は、今後さらに拡大すると予測される。2019年9月にヒューストンで開催されたGastechカンファレンスにおいて、S&P Global Platts analyticsは4、米国パーミアン盆地における石油生産という新しい波により、天然ガスの取引は各段に増加し、それに伴い今まで以上の天然ガスがアジア地域へ輸出されるであろう、予測している。

チャート2:バーミアン盆地における米国天然ガスの生産

2018年2月、中国石油天然気は、シェニエール・エナジーがテキサス州コーパスクリスティに建設予定のターミナルを介し、LNGを今後25年にわたり買い付ける契約を発表した。ほとんどの米国からの輸出契約同様、この契約はヘンリー・ハブの価格に連動しており、これはアジアのエンドユーザーが、ヘンリー・ハブ先物を利用してのLNG輸入における価格リスクを管理する重要なツールとなっている。

天然ガス (ヘンリーハブ)先物は過去、主要な「4つ」のエネルギー先物の中で、アジアの参加率が最も低いプロダクトだった。ただ、過去18カ月で、この状況には大きな変化が生じている。直近の天然ガス (ヘンリーハブ)先物は、アジア時間帯の参加率と同時間帯の売買高で、過去最高水準を更新しているのである。

国際エネルギー機関(IEA)は、米国は2024年までに、豪州およびカタールを抑え、世界最大のLNG輸出国となると予測している。LNGの高まる需要を受け、CMEグループでは米国ガルフコーストLNG55の現物先物取引上場を発表した。さらにIEAは、米国のLNG輸出は今後5年間で、1,000億立方メートル(bcm)を超えると予測している。世界におけるLNGの需要は、2018年には過去最高の432bcmに到達し、アジア太平洋地域における需要の高まりを受け、今後は年間4%上昇すると見られている。

数年前のヘンリー・ハブ総取引高平均は2%であったが、現在では約25,000枚に相当する総取引高のおよそ5%が、アジア時間内に取引されている。このアジア時間における高い流動性に対する傾向は、2020年までにオンラインでの取引が開始予定である米国の新たなLNG輸出プロジェクトの強力なパイプライン、そしてアジアの電力との混合供給における天然ガスの役割増加を受け、今後も継続する見込みである。

チャート3:NYMEXヘンリー・ハブ(HG)天然ガス先物のアジア時間における取引高

情報元:CMEグループ

結論

そして、グローバル市場の指標となるエネルギー・プロダクトへのアジアからの参加率は既に、過去最高水準となっている。こうした状況の背景には、リスク管理に対する需要がアジアで高まっていること、そして、米国とアジア地域のエネルギー市場の連動性が強くなっていることがある。アジア時間での指標プロダクトの成長は、CMEグループの原油や石油精製品、また天然ガスなどのデリバティブ・プロダクトの大幅な成長を凌駕する勢いとなっている。

CME グループについて

世界の市場参加者はCME グループの国際金融市場への公正かつオープンなアクセスに厚い信頼を寄せています。CME グループの中核はCME、CBOT、NYMEX、COMEXの4つの主要取引所で、世界を代表するベンチマーク銘柄や地域特有の成長商品など、すべてのアセットクラスを網羅して幅広く提供しています。これらの取引所は信頼性と専門性により裏付けられた、世界を先導するデリバティブ市場として機能しています。