米国債先物 ロールオーバーの進捗追跡ツール

ロールオーバーの進捗追跡ツール

はじめに

CMEグループは、米国債先物取引におけるロールオーバーの進捗状況を日ごとに更新し、そのデータをチャート形式で公開しています。このチャートは、CMEグループの主要な米国債先物商品を対象に、取組高の日ごとの推移を視覚的に表示します。この「ロールオーバー 進捗追跡ツール(ペース・オブ・ロール)」は、国債先物のロールオーバー戦略の分析に役立つよう設計されています。ロールオーバーの期間中は、チャートが日ごとに更新されます。

チャートの凡例

  • 満期が近づいている米国債先物の四半期限月(当限)から、次の米国債先物の四半期限月(期先)へのロールオーバーは、オレンジ色の線で現在の進捗が表示されます。
  • 青色の点線は、過去20回のロールオーバーにおける進捗の平均を示します。
  • 水色の帯は、過去20回のロールオーバーにおける進捗の範囲を示します。
  • 濃い青色の帯は、過去20回のロールオーバーにおける四分位数の範囲(25%-75%)を示します。(つまり、ロールオーバーの半分がこの範囲で発生したことを意味します。)

米国債先物のロールオーバーとは何か?

米国債先物のロールオーバーとは、満期が近づいている四半期限月の取組高が解消され、期先の四半期限月に取組高が移ることをいいます。(例:満期となる9月限の先物から、12月限の先物への乗り換えなど。) 市場参加者は、ロールオーバーの期間中、当限のポジションを決済するとともに、期先のポジションを新たに保有します。

米国債先物のロールオーバーはどのように行われるか?

市場参加者は、満期が近づいている当限のポジションを決済し、期先のポジションに乗り換えることによって、国債先物をロールオーバーします。これには、二つの方法があります。

一つ目の方法は、個別の取引を二回行うことです。つまり、満期が近づいている既存のポジションをいったん決済し、期先のポジションを新たに取引することで、限月を乗り換える方法です。この方法では、当限と期先の先物を個別に取引する必要があるため、市場参加者は二重の注文執行リスクを抱えることになります。また、二度目の取引が完了するまでの間、相場の変動リスクにも直面します。そのため、ほとんどの市場参加者は、個別の取引によるロールオーバーを避けています。

二つ目の方法は、カレンダースプレッドによる限月の乗り換えです。カレンダースプレッドを用いることで、異なる先物限月を一度に売買することができます。たとえば、当限の国債先物をショートしている市場参加者は、カレンダースプレッドの買い(当限の買いと期先の売りを同時に実行する取引)を行うことで、ロールオーバーの期間中に期先のショート・ポジションへと乗り換えることができます。反対に、当限の国債先物をロングしている市場参加者は、カレンダースプレッドの売り(当限の売りと期先の買いを同時に実行する取引)を行うことで、ロールオーバーの期間中に期先のロング・ポジションへと乗り換えることができます。カレンダースプレッドを用いた国債先物のロールオーバーは、注文執行と価格変動のリスクを軽減できることから、市場ではこの方法が好まれています。

米国債先物のロールオーバーはいつ発生するか?

ロールオーバーは、米国債先物の四半期限月(3月、6月、9月、12月)のサイクルに沿って発生します。ロールオーバーの正確な発生時期というものはなく、当限の取引最終日を期限として、その何ヶ月も前から発生することもあります。ただ、最近のデータによると、当限のポジションの大部分は、前の月の最後の10営業日にロールオーバーされます。一例として、2016年3月限の先物は、2016年2月15日から2016年2月29日の間にロールオーバーが集中しました。

ロールオーバーの追跡ツールでは、二種類の時間軸による分析が可能です。

  • 取引最終日までの日数:これは、米国債先物の種類ごとに異なります。短期の米国債(2年物と5年物)を対象とする先物は、各限月の最終営業日まで取引が可能です。一方、長期の米国債(10年物、ウルトラ10年、30年物、超長期)の先物は、各限月の最終営業日から7営業日前となる日に取引が終了します。 
  • 初回通知日までの日数:これは、すべての米国債先物で共通しています。米国債先物の初回通知日は、各限月の前月の最終営業日になります。

米国債先物のロールオーバー期間はなぜ重要なのか?

米国債先物のポジションを長期的に保有することを望む市場参加者にとって、ロールオーバーの期間は二つの意味で重要です。

一つは、満期が近づいている当限の先物から、期先の先物へとロールオーバーを行う上で、最適な流動性が生み出される点です。米国債先物の取引では、ほとんどの市場参加者が現物の受渡しを望んでいません。ロールオーバー期間の流動性は、市場参加者が現物の国債を保有することなく、先物のポジションを長期的に維持するために役立ちます。

もう一つは、カレンダースプレッドの取引機会です。先物がロールオーバーされる期間は、当限と期先のカレンダースプレッドにミスプライスが生じ、より良い価格でポジションを乗り換えられる可能性があります。

  • ベーシス取引では、カレンダースプレッドのミスプライス(割安または割高な価格)を利用し、ポジションをロールオーバーできる可能性があります。カレンダースプレッドが適正価格よりも割安である場合は、ロング・ベーシス取引(現物の国債を買い、先物を売り建てる取引)のポジションを持つトレーダーがスプレッドを買うことにより、先物の当限のショートを期先のショートへと有利にロールオーバーできます。逆に、カレンダースプレッドが適正価格よりも割高である場合は、ショート・ベーシス取引(現物の国債を売却し、先物を買い建てる取引)のトレーダーがスプレッドを売ることにより、先物の当限のロングを期先のロングへと有利にロールオーバーできます。
  • ヘッジ取引では、カレンダースプレッドのミスプライスを利用することで、期先のヘッジを低コストで構築することができます。ヘッジの利用者は、カレンダースプレッドが割安の時にスプレッドを買うことにより、当限のショートを期先のショートへと有利にロールオーバーできます。または、カレンダースプレッドが割高の時にスプレッドを売ることで、当限のロングを期先のロングへと有利にロールオーバーできます。