CME グループ ホーム > 学習リソース > 高騰したインドルピーから目が離せない

高騰したインドルピーから目が離せない

2014年6月3日
CME Group

ナレンドラ・モディ氏の圧勝で終わったインドの総選挙。金融市場は、これをかなり好意的に受け止めているようです。インドルピーがさらに上伸しています。CMEグループのインドルピー/米ドル(INR/USD)通貨先物は、5月に入ってからの17日間で、162.50から170.45に上昇しました。4.9%のルピー高です。1日の値動きは、急落した昨年の夏ほど激しいわけではありません。しかし高い流動性を維持しています。CMEグループのインドルピー/米ドル通貨先物は、ビッドとアスクのスプレッドが、1日23時間におよぶ取引時間をとおして、ほとんどの場合で2~5ピップス(ピップは価格の刻み幅)です。これは他の取引所に上場しているインドルピー派生商品と大きく異なります。CMEグループのインドルピー/米ドル通貨先物の価格は、米ドル/インドルピー相場(対ドルレート)の逆数となるドル建てです。通常、先物で3ピップスのスプレッドは、NDF(差金決済の先渡取引)であれば1ティックのスプレッドに相当します。ルピーのように時間帯によって流動性が低下しがちな通貨で、この市場は十分な流動性を保っており、優れた価格発見の機能を発揮しているのです。

さて、ここで時計の針を2013年8月28日に戻してみましょう。ルピーは1995年以来となる大きな下げ幅を記録し(1日で3.7%安)、その後も徹底的に売り込まれました。その大きな理由として挙げられるのが、FRB(米連邦準備制度理事会)によってまず2008年に始まった債券買い入れプログラムが縮小に転じる、という観測が高まったことです。標的になったのはインドルピーだけではありません。新興国市場は、それまでの数年間、そのプログラムの恩恵にかなりあずかっていたため、それがそのまま逆風となって直撃を受けたわけです。CMEグループの顧客は、新興国市場に向けるリスクを「回避」と判断しました。これはCFTC(米商品先物委員会)が発表している建玉明細報告から分かります。大半の大口玉が、ブラジルレアル(BRL)、メキシコペソ(MXN)、インドルピー(INR)といった通貨から、日本円やユーロ(EUR)といった主要通貨に移っていたのです。OTC(店頭)為替取引の世界は得てして不透明といえます。そのため、こうしたツールが透明性をもたらすのです。「リアルタイム」で大きな流れの変化を見極めるため、市場関係者に広く受け入れられています。

通貨市場ならではのねじれですが、インドルピーが昨年の暴落から180度向きを変えた一方で、オンショア人民元(CNY)が反落しました。CMEグループには、米ドル/オフショア人民元(USD/CNH)の通貨先物が上場しています。インドルピーが4.9%上昇した同じ期間に、中国人民元(RMB)は約1%下落したのです。米ドル/オフショア人民元先物は昨年、インドルピー/米ドル先物とほぼ同じ時期に上場しており、他の新興国通貨デリバティブと同様の成功を収めています。米ドル/オフショア人民元先物がインドルピー/米ドル先物と異なるのは、期先のほうの限月にもCLOB(集中指値注文システム)にたくさんの注文があり、大勢の市場参加者がヘッジやトレードを実現できる点です。

CMEグループでは、毎月常に150を超える国の顧客が取引に参加しており、その顧客層は、アセットマネジャー、ヘッジファンド、国際的・地域的銀行、政府系ファンド、中央銀行、プロップファーム、事業法人、個人投資家と多岐にわたります。こうした地理的かつ経済的に多様な顧客層が、CMEグループの通貨デリバティブを世界的な究極の通貨取引手段としているのです。これは他のOTC市場や取引所との大きな違いといえます。

大きく動いたインドルピー相場に、これからどのようなことが待ち受けているにせよ、今後の展開に目が離せません。

CME Group金利・通貨商品部シニア・ディレクター