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上がるものは必ず下がる

2014年6月3日
CME Group

世界の通貨市場で今年、最も脚光を浴びているのが、中国人民元(RMB)です。その理由として、中国政府が人民元の国際化を積極的に推し進めていることが挙げられます。

2014年3月、中国人民銀行(PBOC=中国の中央銀行)が人民元の対米ドルレートの変動幅を倍に拡大し、その幅は1%から2%になりました。それとともに、人民元レートの変動性(ボラティリティ)は、新たな段階に入っています。 振り返れば同年1月には、多くのトレーダーが1ドル=6.00元台を突破するのではないかと固唾をのんで見守っていました。しかし現在のところ、人民元の対米ドルレートは、そこから4%近く下がっています。 人民元レートの下げ基調は強く、キャリートレードを仕掛けている人々にとっては厳しい状況です。 過度に上昇した為替相場が巻き戻しに転じると、それまでキャリートレードの恩恵を享受してきた人々が、一転して強い逆風にさらされるのは、けっして珍しいことではありません。 なおキャリートレードとは、通貨間の金利差を利用して、「キャリーコスト」の差益分を享受しようとする、通貨市場ではよく用いられる戦略です。 高金利の通貨を買い、低金利の通貨を売ります。

ただ、専門家の指摘によれば、目先さらに対ドルレートが下げてくると、人民元はすでに過小評価されているとみなされるようになり、中国人民銀行は元安を誘導した決定について再検討せざるを得なくなるかもしれないとのことです。

多くの人は、人民元市場――特にオフショア人民元(CNH)市場――が急速に発展しているのを実感していないことでしょう。その理由のひとつとして、その発展が主にアジアで起きていることが挙げられます。 昔から世界の通貨取引の中心地といえばロンドンです。しかし、CNH市場の拡大で、香港がひそかにその座に就こうとしています。 最近のSWIFT(スイフト=国際銀行間通信協会)のデータによると、香港に次いで大きいオフショア清算センターは、シンガポールでした。ロンドンは3位に押しやられています。 そして3月にロイターは、CNH関連の取引量が世界第2位の規模になったと報じました。 人民元が将来、通貨市場で重要な地位を占めると考えていた人は多いと思います。しかし、これほどまでに急に実現するとは、誰も考えていなかったはずです。 昨年発表されたBIS(国際決済銀行)が3年に1度実施する中央銀行サーベイでは、人民元の取引量は、メキシコペソに次いで10位でした。 CNH市場の取引量や参加者の急増は、その発展を支える中国人民銀行の政策が、人民元が国際化していくなかで、効果を発揮している証左といえます。

現在のところ、CMEグループの「米ドル/オフショア中国人民元(USD/CNH)先物」の出来高は、まちまちです。市場参加者は店頭(OTC)市場を成熟した市場として位置付けています。 したがって、まだCNH取引で支配的なのはOTC市場であるのは明らかです。しかし、それでもCNH取引の“終の棲家”は、CMEグループにあるといえます。 CNHは、ロシアルーブルやブラジルレアルなど、他の新興国通貨の商品と全く変わりません。場外取引であれ取引所取引であれ同様に、中央清算型の環境のもと、さまざまなカウンターパーティが参加しています。 またCMEグループでは、今年10~12月期にUSD/CNHオプションを上場する予定です。この商品は、ヘッジ手段としての役割を担い、流動性をさらに拡大し、利便性をさらに高めてくれるでしょう。

CMEグループ金利・通貨商品部シニア・ディレクター