小麦:高在庫は更に価格を下げるであろうか?

シカゴ貿易協会が軟質赤色冬小麦の価格を軟調にしたことから5年以上も前の2017年7月から長期の弱気市場が始まった。それから価格は50%以上も下がっている。小麦生産者にとっての良いニュースとして、小麦価格は2007年~2017年の標準、4.30ドル/ブッシェルより落ち込んでいるが、価格がブッシェル当たり3.00ドル以下に下落した1997年から2006年レベルより高い価格を維持している。(図1)しかし、多くの小麦生産者にとって懸念されるのは在庫の水準である。期末在庫率がそれほど高いことはほとんどない。(図2)在庫の水準が更に圧力をかけ、小麦をブッシェル当たり4.00ドル以下、さらには3.00ドル以下にするだろうか?

図1:小麦価格は2006年から一貫して低くなっていない。

図2:期末在庫率は記録に近い在庫を示している。

つまり、期末在庫率とそれに続く価格変動との間の関係はニュートラルにかなり近い(図4)。高水準の期末在庫が必ずしも価格を更に下げるわけではなく、また低水準の期末在庫が必ずしも強気市場を引き起こすとは限らない。これは効率的な市場では理にかなっている。在庫に関する情報は迅速に価格に組み込まれ、後でそれを取引することによって利益を得ることができないようになっている。とはいうものの、期末在庫のインパクトに関連してまだ一つ関係がある―在庫水準が高い時に価格変動が少なく、在庫が低価格であるとき価格変動が多くなるというものである。これは、在庫が高い環境の中で小麦の需要が高まると、在庫を生産することで迅速に対応できるという点では意味がある。低在庫の環境の場合のように、次のシーズンに追加生産をインセンティブ化するために価格を上昇させる必要はない。これは、小麦のオプション変動の欠如、将来についての顕著な心配不足を説明するのに役立つ。1回の悪い収穫と在庫水準の低下で、価格とボラティリティの両方が高くなる可能性があるので注意。

図3:高い期末在庫と一貫して低めのドル価格の相関性。

つまり、期末在庫率とそれに続く価格変動との間の関係はニュートラルにかなり近い(図4)。高水準の期末在庫が必ずしも価格を更に下げるわけではなく、また低水準の期末在庫が必ずしも強気市場を引き起こすとは限らない。これは効率的な市場では理にかなっている。在庫に関する情報は迅速に価格に組み込まれ、後でそれを取引することによって利益を得ることができないようになっている。とはいうものの、期末在庫のインパクトに関連してまだ一つ関係がある―在庫水準が高い時に価格変動が少なく、在庫が低価格であるとき価格変動が多くなるというものである。これは、在庫が高い環境の中で小麦の需要が高まると、在庫を生産することで迅速に対応できるという点では意味がある。低在庫の環境の場合のように、次のシーズンに追加生産をインセンティブ化するために価格を上昇させる必要はない。これは、小麦のオプション変動の欠如、将来についての顕著な心配不足を説明するのに役立つ。1回の悪い収穫と在庫水準の低下で、価格とボラティリティの両方が高くなる可能性があるので注意。

図4:高い期末在庫率はしばしば低い実現性の価格変動とイコールする。

図5:小麦オプションは最近の範囲の下端近くで取引されている。

結論

  • 長年にわたるしっかりとした収穫と在庫の増加により、小麦書価格は10年もの間低水準にとどまっている。
  • 高い期末在庫率は、将来の価格変動が上下するかどうかにはほとんど関係していない。
  • しかし、高在庫はボラティリティを低下させる傾向がある。
  • 1回の悪い収穫と在庫が減少することで、価格とボラティリティの両方が高くなる可能性がある。

 

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著者について

Erik Norlandは、CMEグループのエグゼクティブディレクター兼シニアエコノミスト。世界の金融市場に関する経済分析の責任者であり、最新のトレンドと経済要因を評価することで、CMEグループのビジネス戦略、および当グループの市場で取引を行う顧客への影響を分析します。CMEグループのスポークスパーソンの一員でもあり、世界経済、金融、地政学の情勢に関する見解を発信する。

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