植物油 VS原油 : 尻尾に振られる犬(主客逆転現象)

  • 21 Jul 2016
  • By Erik Norland

原油は現在の世界経済において,その中核を成すものとなっている。その派生商品であるガソリンやディーゼル、航空機燃料などは、実質的に、近代社会の移動/輸送手段を支えている。さらに、化粧品や医薬品、汎用プラスチック・ボトルなど、意識されているかどうかは別にして、我々の生活の多種多様な場面で、石油製品は多様な役割を果たしている。また、原油は日々、世界の多くの市場の取引動向に影響を与えている。最近では、株式市場に与える影響について、さらに、特定業種が主要株価指数をアウト/アンダー・パフォームする背景として、原油市場の動きを分析したレポートが、多く発表されている。そして、原油や石油製品の取引規模は、1日に数100億ドルという規模に達しているのである。ただ、こうした戦略的重要性を背景とする一方で、WTI原油は過去15年超、より控えめなある商品の市場動向の後塵を拝している。その商品とは、植物油である。あえて表現すればこれは、尻尾(大豆油やパーム油)に犬(原油)が振られている状況、(図1と2)と言える。       

図1:大豆油ーー原油価格の先行指標?

図2:パーム油(米ドル建て)も、原油価格に先行する傾向がある

植物油が原油を明確に先行し始めたのは、10年前からとなっている。2006年の夏、原油価格は当時の過去最高値だった77ドル/バレルを付けた後、2007年1月には51ドル/同まで暴落している。一方で、原油価格がその後、2008年7月には140ドル/同を超えることになる前兆であったかのように、植物油はこの原油市場の修正相場に影響されることはなかった。以来、植物油の相場展開は、その上昇/下落に際して、原油市場を先行する傾向となっていて:

  • 植物油が2008年3月に高値を付けた4ヶ月後(同年7月)、原油価格は過去最高値を付けている
  • 2008年11月と12月、パーム油と大豆油は安値を付けている。これは、原油価格の底打ちに2週間から4週間、先行する動きとなっている。実際、原油価格が上昇基調を取り戻した2009年3月の段階では、パーム油と大豆油は既に、上昇トレンド入りしていた。
  • 2011年2月、植物油は金融危機以降の高値を付けている。原油価格が同様の高値を付けたのはおよそ3か月後、2011年4月である。
  • その後、2011年から2014年中ごろまで、原油市場は80ドルから115ドルのレンジ相場となる。一方で、植物油は長期的な弱気相場入りしており、2014年末の原油価格の急落の前兆となっている。
  • 2015年8月、9月の大豆油とパーム油の底打ちは、2016年1月、2月の原油市場の底打ちに、半年ほど先行している。
  • 2016年4月、植物油は高値を打ち、その後は修正相場となっている。一方、原油市場では、今月初から下値圧力が高まっている。ここでの植物油は、原油市場の下落修正が始まったことを示唆しているのかもしれない。

高水準の在庫は、原油市場の夏相場を示唆するものとなるかもしれない。

植物油が原油市場の先行指標となっている様に見えることについて、これと言った背景は指摘できない。ただ、原油が供給過剰になると、混合燃料としての植物油の価値が失われる、または、少なくとも需要が後退する可能性はあり得る。反対に、原油が不足すると、植物油に対する需要が急激に増えるということが考えられる。実際、在庫水準が大規模に変化する原油に比べて、植物油の生産者は、積極的に在庫を持とうとはしないとも考えられる(図3)。

要点: 植物油のトレーダーは多くの場合、原油市場の動向を参考にしている。ただ、実際には、原油トレーダーこそ、その先行指標である可能性があることから、大豆油やパーム油の相場動向を参考にするべきなのかもしれない。

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著者について

Erik Norlandは、CMEグループのエグゼクティブディレクター兼シニアエコノミストです。世界の金融市場に関する経済分析の責任者であり、最新のトレンドと経済要因を評価することで、CMEグループのビジネス戦略、および当グループの市場で取引を行う顧客への影響を分析します。CMEグループのスポークスパーソンの一員でもあり、世界経済、金融、地政学の情勢に関する見解を発信しています。

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