日経225先物 : 成功の物語

  • 21 Sep 2016
  • By CME Group

日本の株価指数先物の国際化

今年は、シンガポール国際金融取引所(SIMEX)(現在のシンガポール取引所(SGX))の30周年の年であり、 同取引所は、SGX日経225先物を用いて日本の株式市場を原市場とした世界初の先物商品を手掛けたパイオニア的存在である。関連する画期的な出来事として、日経225 先物は、CMEグループで26年前にデビューした。CMEグループとSIMEXは 1986年に提携し、アジア発の金融先物取引所であるSIMEXでベンチマークである日経平均を原資産とする先物を上場した。

また、アジア最大の先進国として日本の日経平均株価指数は、先物市場において代表的なアジア初の株価指数であった。その後、レオ・メラメド会長率いるCMEグループは、1984年に画期的な相互決済制度(MOS)を共同で提唱してSIMEXとの戦略的提携を強化した。これは、デリバティブ業界史上で最も早期に成功した取引所の提携の一つであった。

相互決済制度(MOS)について

CMEグループ とSGXとの間で結ばれた特別な取り決めを通じて、円建てとドル建ての日経225先物取引は、片方の取引所でポジションを構築して、同じ取引日内にもう片方の取引所において清算することができる。そのため、トレーダーは、2か所の取引所で取引を執行して、自分が選択した時間帯にその取引を清算することが可能だ。

先物市場の創設者

レオ・メラメドは、先物市場を創設した人物とみなされている。CMEグループを世界有数の先物市場に発展させ、国際通貨市場の創設に果たした同氏の役割は、金融市場で伝説的な存在として知られている。また、同氏は、SIMEXの発展をリードし、後にシンガポール証券取引所とSecurities Clearing and Computer Services Pte Ltdは合併して、SGXが設立された。

「MOSが機能することを立証すれば、2つの時間帯を接続することで先物取引に大変革を起こせ、シンガポールに関してビジネスを呼び込めるとわかっていた。 」 – レオ・メラメド、CMEグループ名誉会長

相互決済制度の持続

30年以上経ても、SIMEXが初めて提携し最長のパートナーシップが存続し、MOSは今なお、世界中の投資家によって広く使われている。

MOSの取り決めに基づき、日経225 先物は、CMEグループのGlobexの取引プラットフォームでは1988年に取引開始され、CMEグループ自体は、 1990年に日経225先物を上場した。

図1:SIMEXのトレーディングフロア

SGXとCMEグループとの提携により、ほぼ24時間体制での取引が実現し、日本株の先物市場が国際化を遂げた。現在、日経225先物は、世界中で活発に売買されている。

過去10年間において、CMEグループとSGXに上場される日経225先物の出来高は、その前の10年間に比べて4倍増となり、日経225先物は、立会場から電子取引への移行を完了した。

日経平均株価指数について

1950年以降、一般に日経平均(日経225)と呼ばれる日経平均株価指数は、日本株式を代表する株価指数として最も広く利用されている。多数の金融商品は、日経平均に連動されている。 日経平均は、(円建ての)株価を平均した株価指数で、(大企業向けの)東証一部上場の225銘柄で構成されており、 構成銘柄は年一回見直される。

日経平均は、時価総額が約3兆ドルに達しており、アジアの株式市場全体に占める割合は12%以上、世界の株式市場では4%以上となっている。

図2:SGXとCMEグループの日経225先物の出来高

図3:日経平均の推移

日経平均の構成銘柄

日経平均を構成する大型主力5銘柄は現在、小売が1銘柄、通信が2銘柄、製造業が2銘柄で構成されている。S&P 500® 指数やシンガポールのストレーツ・タイムズ指数(STI)とは異なり、金融は、同株価指数の最大セクターではない。日経平均の構成銘柄の5分の4は消費関連、工業、IT、ヘルスケアといった、4つのセクターで占められている。国内の経済的な要因に加えて、2016年の日経平均のパフォーマンスは、アジアの大半と同じく、世界の成長見通しに左右された展開となっている。

株価は、1株50円のみなし額面に基づき、均等加重で日経平均を算出している。株式分割などのイベント、構成銘柄の除外や追加が生じると、株価の均等加重と指数の算出に影響が出る。日経平均は、市場全体を反映させるように設計されており、そのため、特定の業種の組み入れ比率は存在しない。

日経225先物と日経平均連動型の上場投資信託(ETF)

日本以外で上場される日経225先物は、高い流動性とアクセスの容易さを投資家にもたらしている。 SGXとCMEグループで上場される日経225先物の1日の出来高合計は、2015年に230億ドルに達しており、日経平均に連動するETF上位5銘柄の出来高の26億ドルが少なくみえる。 日本で上場されるETFの上位銘柄は、日経225連動型上場投資信託、上場インデックスファンド225、ダイワ上場投信−日経225、Next Funds日経平均レバレッジ・インデックス連動型、MAXIX 日経225上場投信である。

図4に示されるように、先物は、国外の市場で厚みのある流動性を持ち、大規模なポジションの構築や解消を容易に行えるため、投資家にとって、リスク管理目的で日本の株式市場へのアクセスを狙う投資家にとって最適な手段である。また、先物を活用すれば、レバレッジを効果的に導入することができる。

リスクを効果的に管理して自分の見方を実現するために、プロのトレーダーは、流動性、クロスマージン、 CMEグループとSGXとの間のMOSに頼っている。実際、過去数十年間にわたり、この提携によって生じた流動性は、日経平均先物の伸びの原動力だった。

図4:日経225先物とETFの出来高(単位:兆ドル)

日経平均を原資産とするデリバティブのエコシステムの拡大

とはいえ、日経225先物・オプションは当初、取引ピットでオープン・アウトクライ方式により売買され、顧客のニーズの変化に応じて、その後取引方法が進化した。今では、SGXとCMEグループの顧客は、この商品群に対して通貨や取引所に関する選択肢を持っている。

円建てとドル建ての日経225先物は、SGXとCMEグループで上場されており、円建てとドル建ての投資で構成されたポートフォリオを保有する投資家に利便性を提供している。

CMEグループの日経225ドル建先物では、アセットマネージャーの取組高が成長している。アセットマネージャーの建玉は、過去数年間で40%以上に達している。

SGXとCMEグループはともに、日経225のオプションなど補完的な商品も上場し、SGX もまた、アジア初となる配当指数先物を上場し、日経平均を原資産とする様々な商品を提供している。

エコシステムに組み込まれたSGXとCMEグループ

CMEグループとSGX で売買される日経225先物は、 日本株式市場へのアクセスを支えるエコシステムに不可欠な部分であり、各取引所は、その本来持つ強みを活用している。

たとえば、日経225オプションについては、市場における高いボラティリティにより投資家のヘッジの必要性が強まったことを背景に、SGX の建玉が増加している。2016年7月末に、SGXの日経225の取組高は、100万枚を突破した。

図5のチャートは、CMEグループの日経225先物について、同じ取引所における2種類の通貨建て指数先物の利用状況を示したものである。ドル建に対する需要は一般的に、アセットマネージャー界によるものである。これは、円建てポジションでショートとロングを構築する投機筋の資金と一致している。これは、「クオント」スプレッド取引と呼ばれており、日経225先物に固有のものである。採算の合うクロスマージンを実現するには、同じ取引所で2種類の通貨建ての商品が取引できるようにして、十分な流動性を確保する必要がある。

両方の図において、それぞれの取組高の増加により明らかになっているように、日経225への投資に対して先物・オプション商品が利用されている。

図5:日経225ドル建先物と日経225円建先物の建玉明細報告とCMEグループの取組高

SGX-CMEグループの提携を振り返る

最後に、1980年代の SGX-CME グループの提携の初期に関するインタビューにおいて、レオ・メラメドが示した考え方をお届けしたい。

2015年2月10日のBusiness Times Singaporeによるインタビュー

「シンガポールは、先物市場の経験がほとんどなく、トレーダー界の意見は一つにまとまっていた。それ以上に、シンガポールの官民セクターの高官・役員ともに、ディールの実行に意欲的であった。それゆえに、シンガポールは、私の選択肢となった。

「…Simex がいつかSGXの一部となり、アジアの株式デリバティブの中心地となると、私が予見していたのか? 当然、予見していなかった。だが、本質的には、我々の提携の成功には、東南アジアの金融センターとしてのシンガポールの将来の成長が不可欠であるとは理解していた。」 – CMEグループのレオ・メラメド名誉会長

図6:Ng Kok Song(SIMEXの創設会長)とレオ・メラメド


付録

SGXは、次世代デリバティブ・プラットフォームを導入し、日経平均を原資産とするデリバティブの取引時間を延長

 

2016年10月末から、SGXは、 デリバティブの取引・決済プラットフォームを更新する予定である。その結果、SGX日経225先物・オプションの取引時間は、午後4時45分(東部標準時)まで延長される予定である。また、ブロック取引の登録も、午後4時45分(東部標準時)まで延長される。 今回の機能向上により、T とT+1の取引時間帯間の一時中断が45分間から15分間に短縮される。

 

図7: SGX 日経225先物の新しい取引時間*

取引時間帯の状況 東部標準時 説明
寄付前(T) 午後7時15分~午後7時28分 マッチングなしの期間注文の入力、修正、取消は許可
取消不可(T) 午後7時28分~午後7時30分 マッチングなしの期間注文入力は許可されるが、修正や取消は不可
取引時間(T) 午後7時30分~午前2時25分 マッチング期間
引け前(T) 午前2時25分~午前2時29分 マッチングなしの期間注文の入力、修正、取消は許可
取消不可(T) 午前2時29分~午前2時30分 マッチングなしの期間注文入力は許可されるが、修正や取消は不可
15分間の一時中断
寄付前(T+1) 午前2時45分~午前2時53分  
取消不可(T+1) 午前2時53分~午前2時55分  
取引時間(T+1) 午前2時55分~午後4時45分 T+1の取引時間帯はすべて、午前4時45分に終了予定

*新しい取引時間は、導入の前に確認される予定

インフラ更新によるその他の大きなメリットは、業界標準のアクセス・プロトコル、セルフヘルプ機能の拡張、ストレート スルー プロセッシングの改良等が挙げられる。 新システムでは、リスクコントロール・システムが強化され、市場参加者は、24時間体制で取引・清算ポジションを管理できるようになる。

図8:新しいSGXデリバティブ・プラットフォームのメリット

業界標準アクセス・プロトコル セルフトレード防止機能 大量クォート防止
  • 新しいSGX取引プラットフォームは、注文入力についてOUCH低遅延のバイナリソケット・プロトコルをサポートし、 注文板(オーダーブック)との最速の非同期の相互作用を実現。
  • 即時の市場へのシグナルと瞬時のオーダーブックの更新については、マルチキャストにおいてマーケット別形式でITCHによりデータをフィード
  • 特定の参加者の注文について相互の執行を防止することで、意図しない内部取引を回避。
  • 参加者は、セルフトレードを回避するための取引戦略において、プログミングの複雑さの緩和による恩恵を享受
  • マーケットメーカーが、エクスポージャーのリスクをより効果的に管理でき、枚数の増加や良好なスプレッドで確信を持って気配値を示せる 

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