米国消費者の衰退観測が過剰な誇張である3つの理由

  • 14 Apr 2015
  • By Erik Norland

ここ3か月の米国小売売上高は、米国の実際の経済動向に比べ、厳しい内容になった。昨年12月に0.9%、今年1月に0.8%、同2月に0.6%、それぞれ前月から低下したのである。個人消費の下振れは、既に期待薄となっている今年第1四半期のGDPを一段と押し下げる要因ともなり、市場予想を大幅に下回る可能性も指摘される。実際、FRB(米国中央銀行)による政策金利の引き上げ先送りは金利市場に反映されている、という見方には、こうした要因もその背景になっていると考えられる。今年初め、FF(フェッド・ファンド翌日物金利)先物は、引き上げが6月までに実施される可能性をおよそ60%としていた。現在、その確率は10%程度まで落ち込み、引き上げを完全に反映しているのは今年末の限月となっている。

結果として: 消費者は昨年12月から今年2月まで、ガソリン価格低下によって生じた予想外の余剰金を貯蓄に回したのである

しかしながら、こうした状況を背景に、米国消費者の活動が衰退しているとの観測は、過剰に誇張された見方であるもの事実なのである。 第1に、ここまでの小売売上高の下振れの大部分は、ガソリン価格の低下がその要因となっている。自動車とガソリンを除いた小売売上は12月、前月から0.1%増となっているし、1月、2月については、それぞれ0.1%、0.2%低下したに過ぎない。 1月、2月の下振れについては、米国中部や東部が、例外的に寒く、雪の多い冬となったことも指摘されている。

第2に、実質的な小売売上高は、かなり力強いものだった(図1)。インフレ率がゼロだったことから、全体としての売上高は、実質でも、額面でも、前年同月比で1.7%増となっている。さらに、自動車とガソリンを除けば、2月末時点は同4.5%増と、同時期のコア・インフレ率である1.7%増をはるかに上回る水準ともなっている。もちろん、一方が自動車とガソリンを除いたものであり、もう一方が食品とエネルギーを除いたもの(コア・インフレ率)であることから、両者の比較は必ずしも適切とは言えない。ただ、概略的であったとしても、前年同月比の実質上昇率が2.8%というのは、相当な水準であると言える(図2)。

図1

図2

第3に、労働収入は引き続き急速な伸びを示している。ここ1年で、平均時間給が2.1%増となる一方、週間の平均労働時間は増加していない(2014年3月と2015年3月の比較)。さらにこの間、就業者数は2.2%増となっている。こうした要素を加算していくと、インフレ率は0%程度だったことから、実質、そして額面で、労働収入は4.3%増となる。 

 

結果として: 消費者は昨年12月から今年2月まで、ガソリン価格低下によって生じた予想外の余剰金を貯蓄に回したのである(図3)。極寒や雪嵐を避け、あまり外出しなかった消費者も多かっただろう。もちろん、寒気が緩む春になれば、室内にこもってばかりが続くわけではない。従って今年後半には、個人消費の高まりが期待できる。この予想を確認するための最初のデータは、米国国勢調査局が4月14日に発表する3月分の小売売上高統計となる。ただ、これが多少脆弱な内容になったとしても、小売売上が2015年第2四半期に大幅な改善を見せるとの予想は、正当化されるものと考える。

図3

個人消費が回復を見せる一方で労働市場の健全性が維持されるなら、FRBが、どちらかと言うと、より積極的な金融政策の引き締めスタンスを採るであろうとの観測を背景に、政策金利引き上げのペースに関して金融市場が見方を再考したとしても、決して驚くには値しないだろう。

免責事項

先物取引やスワップ取引は、あらゆる投資家に適しているわけではありません。損失のリスクがあります。先物やスワップはレバレッジ投資であり、取引に求められる資金は総代金のごく一部にすぎません。そのため、先物やスワップの建玉に差し入れた当初証拠金を超える損失を被る可能性があります。したがって、生活に支障をきたすことのない、損失を許容できる資金で運用すべきです。また、一度の取引に全額を投じるようなことは避けてください。すべての取引が利益になるとは期待できません。

本資料に掲載された情報およびすべての資料を、金融商品の売買を提案・勧誘するためのもの、金融に関する助言をするためのもの、取引プラットフォームを構築するためのもの、預託を容易に受けるためのもの、またはあらゆる裁判管轄であらゆる種類の金融商品・金融サービスを提供するためのものと受け取らないようにしてください。本資料に掲載されている情報は、あくまで情報提供を目的としたものです。助言を意図したものではなく、また助言と解釈しないでください。掲載された情報は、特定個人の目的、資産状況または要求を考慮したものではありません。本資料に従って行動する、またはそれに全幅の信頼を置く前に、専門家の適切な助言を受けるようにしてください。

本資料に掲載された情報は「当時」のものです。明示のあるなしにかかわらず、いかなる保証もありません。CME Groupは、いかなる誤謬または脱漏があったとしても、一切の責任を負わないものとします。本資料には、CME Groupもしくはその役員、従業員、代理人が考案、認証、検証したものではない情報、または情報へのリンクが含まれている場合があります。CME Groupでは、そのような情報について一切の責任を負わず、またその正確性や完全性について保証するものではありません。CME Groupは、その情報またはリンク先の提供しているものが第三者の権利を侵害していないと保証しているわけではありません。本資料に外部サイトへのリンクが掲載されていた場合、CME Groupは、いかなる第三者も、あるいはそれらが提供するサービスおよび商品を推薦、推奨、承認、保証、紹介しているわけではありません。

CME Groupと「芝商所」は、CME Group, Inc.の商標です。地球儀ロゴ、E-mini、E-micro、Globex、CME、およびChicago Mercantile Exchangeは、Chicago Mercantile Exchange Inc.(CME)の商標です。CBOTおよびChicago Board of Tradeは、Board of Trade of the City of Chicago, Inc.(CBOT)の商標です。ClearportおよびNYMEXは、New York Mercantile Exchange, Inc.(NYMEX)の商標です。本資料は、その所有者から書面による承諾を得ない限り、改変、複製、検索システムへの保存、配信、複写、配布等による使用が禁止されています。

Dow Jonesは、Dow Jones Company, Inc.の商標です。その他すべての商標が、各所有者の資産となります。

本資料にある規則・要綱等に関するすべての記述は、CME、CBOTおよびNYMEXの公式規則に準拠するものであり、それらの規則が優先されます。 取引要綱に関する事項はすべて、現行規則を参照するようにしてください。

CME、CBOTおよびNYMEXは、シンガポールでは認定市場運営者として、また香港特別行政区(SAR)では自動取引サービスプロバイダーとして、それぞれ登録されています。ここに掲載した情報は、日本の金融商品取引法(法令番号:昭和二十三年法律二十五号およびその改正)に規定された外国金融商品市場に、もしくは外国金融商品市場での取引に向けられた清算サービスに、直接アクセスするためのものではないという認識で提供しています。CME Europe Limitedは、香港、シンガポール、日本を含むアジアのあらゆる裁判管轄で、あらゆる種類の金融サービスを提供するための登録または認可を受けていませんし、また提供してもいません。CME Groupには、中華人民共和国もしくは台湾で、あらゆる種類の金融サービスを提供するための登録または認可を受けている関連機関はありませんし、また提供してもいません。本資料は、韓国では金融投資サービスおよび資本市場法第9条5項並びに関連規則で、またオーストラリアでは2001年会社法(連邦法)並びに関連規則で、それぞれ定義されている「プロ投資家」だけに配布されるものであり、したがってその頒布には制限があります。

Copyright © 2016 CME Group and芝商所. All rights reserved.

このレポートで用いられている例は仮定のものであり、その解釈は課題の解説だけを目的としたものである。また、このレポートに反映されている意見は筆者個人のものであり、必ずしもCMEグループ、またはその関連機関の意見を代表するものではない。さらに、このレポートにある情報は投資を勧誘するものではなく、その結果は実際の市場展開の結果として生じたものでもない。