プラチナは、再び金をアウトパフォームするのか?

  • 26 Aug 2015
  • By Bluford Putnam

ここ25年, 時にはその2倍に達するなど、プラチナは金価格を上回っての推移を続けている。しかしながら、今年1月以来(図1、2)両者の関係には変化が生じていて、金価格がプラチナのそれを上回る状況ともなっている。この逆転現象は、ここ5年間で2度目のことである。

図 1:  金価格、プラチナを上回る

図 2: プラチナの埋蔵量は金を上回る

ただ、それぞれの埋蔵量を考えた場合、この現象は正当化される。プラチナの埋蔵量は金のそれを、20%ほど上回るからである。一方、世界的な採掘量では、プラチナは金の6%ほどに過ぎない。例えば2014年の産出量は、プラチナの500万トロイオンスに対して、金は9100万トロイオンスとなっている(図3)。

2005年以来、低下傾向となっているプラチナの生産量については、南アフリカで鉱山労働者のストライキが続いた2014年を最後に、2015年には急拡大すると予想されている。それでも、生産量は2006年を18%ほど下回る水準に留まると見られている。一方で、金の生産量は2006年比で、2015年には26%増に達すると予想されている。

図 3: プラチナの生産量は2015年に増加へ転じる

生産量減少傾向や赤字生産となっているプラチナの現状は、対金価格で、大きな上昇に転じると予想されるのである。

金については、生産量とその拡大スピードがプラチナを凌駕する状況となっていることに加えて、生産地が多様であることも指摘できる。世界最大の金の産出国は中国だが、それでも総生産量の16%を占めるに過ぎない。さらに、ロシアと豪州がそれぞれ9%で続き、米国が8%、カナダが5%ほどとなっている。また、こうしたトップ5の生産国による総量でも、世界市場のシェアは過半数に至らない(47%)状況となっている。一方で、世界的なプラチナ生産は今年、南アフリカがその70%を占める。13%のロシアがそれに続くが、トップ5の生産量は、世界市場の98%に及ぶ(図4)。

金の産出現場が地理的に拡散していて、生産量とその拡大が急速に進んでいることから、金価格がプラチナのそれを大幅に下回る相場環境が形成される、と考えられる(図5)。

図 4:  産出地域が集中するプラチナ、産出量の減少

図5:  産出地域が分散している金、産出量は増加傾向

また、プラチナの生産コストは、金のそれを大幅に上回る。例えば2014年、トロイオンス当たりのプラチナの生産コストは1,209米ドルだった。現行の市場価格を20%も上回る水準となっていて、今後数年間で、生産者が財務的に困難な状況に巻き込まれることも予想され、プラチナの生産量は引き続き減少傾向となっていく、とも見られている。

一方で、金の生産コストはオンス当たり700米ドルほどで、現行価格を40%程度下回っている。さらに、鉱山運営を維持していくための総コスト(1000米ドルを若干下回る水準、調査会社=Metals Focusの試算による)に対して現行市場は、それを10%程度上回る水準で推移している。こうした背景から、生産量は2015年にピークを打つ(図6)との見通しもある中、今後数年、金の生産量は引き続き増加傾向となることが予想される。

市場への供給量という観点からは、金価格がプラチナのそれを大幅に「下回るべき」であることは明確である。一方で、現実は、金価格がプラチナを「上回る状況」となっている。ナゼか?

プラチナの再利用が金のそれを凌駕しているわけではないので(図7、8)、答えはどこか他にある。

図6: 市場価格を下回る金の産出コスト

図 7: 2015年の再生プラチナは、全体の17.3%と予想されている

図 8:  2015年の再生金は、全体の27%と予想されている

例えば、金価格をプラチナのそれが下回っている相場の現実については、需要面からの説明が可能である。プラチナの実需は主に、ディーゼル・エンジンにおける媒介である。新興国を中心に景気後退が指摘されるなかでは、トラックなどに対する需要減退が考えられるし、新技術を背景に、自動車メーカーが媒介装置のプラチナ依存を軽減していることも、プラチナに対する需要水準が低下する要因となる(図9)。 

図 9:  自動車生産におけるプラチナ需要は停滞気味

図10:  実需の比率が小さい金

一方で、実需の比率が低い金については、最近の価格下落を受けて、宝飾需要が高まりを見せるとも予想されていて、需要面での好材料を提供している。もちろん、プラチナについても宝飾需要の高まりが予想されるが、金に比べて、プラチナのそれは価格形成上の重要性に欠けるのが常となっている。 

結論として:

プラチナ/金の価格差については、特に供給サイドのファンダメンタルズから、顕著な拡大が予想される。生産量減少傾向や赤字生産となっているプラチナの現状は、対金価格で、大きな上昇に転じると予想されるのである。一方で、こうしたプラチナの状況とは反対に、金の産出量は拡大傾向を続けており、供給ベースは世界各地に分散されている。金についてはさらに、過去4年間、米ドル建ての価格が下落する一方で、生産者にとっては利益が出せる相場水準が維持されて来た。したがって、「ピークを打った」というよりも、金の生産量はここからもしばらく、増加を続けると考えられる。こうした見方が正しければ、今後数年で、プラチナ価格が金のそれを再び上回る、と予想される。

需要サイドに関しては、中国を始めとする新興国(南アメリカ、中東、ロシア)の景気後退や自動車に関連したプラチナの工業利用の減少などは、現行相場で既にその大部分が反映されていると思われる。したがって、プラチナ価格に関しては、世界的なトラック需要が予想外に急低下したりしない限り、少なくとも金価格に連動する範囲で、上昇が期待される。

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