エクイティ:ラッセル2000とS&P 500®の比較

ラッセル2000は1979年に小型株のパフォーマンスを追跡し始めて以来、この指標はわずかに上回っているとは言わずとも、大口株のS&P 500®指標(図1)のパフォーマンスと大まかに一致している。

2つの指標の全体的な業績は類似しており、その相関関係は概ね高い(平均0.8で、1年のローリングベースで0.6から0.96に及ぶ)が、時には大きく分岐している。(図2) 

図1: 38年間の小型対大型のパフォーマンス

図2: 1979年以降の小型の好業績と業績不振。

  1. 1979年~1983年: ラッセル2000は、2桁のインフレ率、2桁の金利、それから1980年1月~6月、1981年8月~1982年12月と引き続いた景気後退という極端な経済乱気流の際にS&P 500® を80%上回った。当時、投資家は中小企業が、大きな企業よりも機敏に環境をナビゲートしていると判断していた。
  2. 1983-1990: 1980年代の長い経済拡大の中、大型が反発し小型は圧倒された。経済的確実性が増加したこの期間中、S&P 500®はラッセル2000を91%上回り、1979年~1983年の業績悪化分以上を回復した。
  3. 1990-1994: 1990年~91年の景気後退とその直後余波により小型はS&P 500®を再び50%近く上回った。
  4. 1994-1999:1990年第の最強期にS&P 500®大型は再び1980年代の好況時と同じようにラッセル2000小型を上回った。今回はS&P 500®がラッセル2000より5年間で93%もパフォーマンスを上回った。
  5. 1999-2014: 乱気流(テクノロジー株の価格崩壊、アフガニスタン・イラク戦争、サブプライムバブル、経済崩壊やの量的緩和)の新時代の中、小型は大型を再び速やかに上回り、ラッセル2000はS&P 500を114%上回った。

2014年初頭以降米国の経済成長が成熟するにつれ、S&P 500®は再びラッセル2000よりも約10%増という優れたパフォーマンスを発揮した。この間、2つの指標の相関は長期平均0.8(図3)に戻り、ラッセル2000は今世紀に入ってからほとんどの間S&P 500®よりもボラティリティが高いままとなっている。

図3: 非常にポジティブで合理的に安定した歴史的相関

小型と大型の相関が高いという事実は多様化のメリットを制限しているため、ロングオンリーの投資のみを行っている投資マネジャーにとってはおそらく少しイライラするものであろう。対照的に、ロング・ショートマネジャーにとっては、この2つの指数の相対的なパフォーマンスの強い傾向、そして間違った側の取引に巻き込まれた場合に重大なリスクから利益を得る可能性を広げます。

これは全てS&P 500®が2014年以降の業績を引き続き維持するのか、またはラッセル2000が再び業績を上回るのか、という質問に尽きる。米国が経済成長の成熟段階にあるという事実から、株式投資家が1980年代と1990年代のように経済拡大に対応すれば、大型の好業績が継続するという議論がある。この評価に再考を促すものとしては、小型は2003年~2007年の経済拡大時に好業績を上げたが、以前の拡大と比較しても確かに比較的短いものであった。

株価収益率(ここでは逆数、収益利回りと見なされる)、株価売上高倍率、株価純資産倍率や配当利回りのような評価尺度は理論整然とした答えを提供することはない。とはいうものの、これらの評価の1つ目である株価収益率は、小型の好業績が始まった15年間(図5)のように、大型株は小型と比較して高値になることはないことを強く示唆している。

図4: 小型は2000年以来大型よりリスクが高い。(2000年以前はそうでない)

図5: S&P 500® の収益利回りは、1990年代後半を除いて通常ラッセル2000より高い。

それどころか、2つの指数間の利益率の格差は非常に広く、経済拡大の後半ステージに移るにつれラッセル2000を上回るS&P 500®の業績が継続するようになるであろう。 

株価売上高倍率のようなその他の評価は逆に大型株は小型と比較して過大評価される可能性があると示唆している。(図6)株価売上高倍率はごまかすことが難しいという利点がある。企業は年間純益を、収益統計よりもはるかに簡単に良く見せることができるのである。しかしながら、株価売上高倍率は収益に対する利益率を考慮していないという欠点がある。この評価により、S&P 500®の評価額はラッセル2000の評価額との間の上限は、長期間に渡った大型の業績不振が始まった1999年のそれとほぼ同じとなっている。

図6:S&P 500 株価売上高倍率はラッセル2000と比較して極端なレベルになっている。

株価純資産倍率と配当利回りはどちらにも強いシグナルを送っていない。S&P 500®株価純資産倍率はラッセル2000と比較して高くなっているが、2000年の極端なレベルとはかけ離れている。(図7)しかし、集計された簿価の意味は疑わしく、買収からのれんを管理する方法や資産価値の会計処理を含めてあらゆる方法で簿価を処理することができる。

企業が配当を本当にごまかすことが出来ない評価方法。それは支払うか、それとも支払わないか。いくつかのセクターではその他よりも多くの配当を払う傾向があり、もちろん大型の方が小型よりも多く支払う傾向にあるが、しかしS&P 500®とラッセル2000の配当利回りのギャップはそれほど憂慮すべきものではない。

図7:株価純資産倍率は相対評価で憂慮するものを何も示していない。

図8:S&P 500®とラッセル2000の配当利回りのギャップに特に変わったことはない。

要点:

  • ラッセル2000とS&P 500®は通常高い相関関係を示すが、相互に比較して業績が著しく良いまたは悪い期間がある。
  • 小型は経済的な乱気流の期間中(1979年~83年、1990年~94年と1999年~2014年)、一般的に大型よりも好業績であった。
  • 大型は強気相場の後半や経済拡大の勢いが強い時期に業績が伸びることが多い。
  • 2014年より、S&P 500®はラッセル2000と比較して反発している。
  • 利回りは、この反発がしばらく続くことを示唆している。
  • 株価売上高倍率は対照的に、大型の評価が拡大しすぎであることを示唆している。

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著者について

Erik Norlandは、CMEグループのエグゼクティブディレクター兼シニアエコノミスト。世界の金融市場に関する経済分析の責任者であり、最新のトレンドと経済要因を評価することで、CMEグループのビジネス戦略、および当グループの市場で取引を行う顧客への影響を分析します。CMEグループのスポークスパーソンの一員でもあり、世界経済、金融、地政学の情勢に関する見解を発信する。

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