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原油相場は植物油を手がかりに動いているのか

  • 8 Mar 2017
  • By Erik Norland
  • Topics: Energy

原油価格のトレンドを先行する大豆油は、尻尾が犬を振る究極のケースに見える(図1)。これは奇妙に思える。2017年2月のドル金額ベースの1日当たりの平均取引高は28億ドルと控えめな大豆油が、同月に21倍以上の巨額の取引高を誇るWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)原油をどうしたら先行できるのだろか。

犬の飼い主が知っているように、犬の尻尾の筋肉は、その身体を振り回せるほど強くはないことは誰でもわかっている。犬の尻尾は、とても表現豊かで、なにをしようとしているかを示唆することができる。 同様に、植物油は、原油価格を上下させる要因にならないことはかなり明白である。とはいえ、原油と植物油の市場規模はかなり違いがあることは、この行動の説明の一因になるかもしれない。相対的に規模が小さい市場であるため、植物油は、原油価格の微妙な需給の変化にかなり影響を受けるかもしれない。

図1 

その関係を左右する主なメカニズムは、バイオ燃料である。欧州連合(EU)27カ国を含め、64か国がバイオ燃料のマンデートや数値目標を掲げていたり、考慮中である。原油が供給不足となれば、製油所はバイオ燃料の購入を増やす可能性があり、このため価格は押し上げられる。同様に、原油の供給が豊富になれば、または需要が低迷すれば、製油所は植物油の購入を減らす可能性があり、このため原油価格の下落見通しが浮上して価格は押し下げられる。

過去数十年間にわたり、植物油の価格と、その値動きに追随する原油価格の変動との関係は、以下のようにかなり注目に値する。

  • 大豆油は、2006年に原油価格の上昇局面を無視したが、その年の終盤に原油価格は、大豆油の価格水準まで調整した。
  • 原油価格は、2006年終盤から2007年初頭に下落相場となり、大豆価格は上昇に転じ、その後2007年1月から2008年7月に原油価格は急騰し強気相場となり過去最高値を付けた。
  • 大豆油価格が2008年3月にピークに達した4ヶ月後(同年7月)、原油価格は過去最高値を付けた。
  • 2008年12月、大豆油の価格は底を打ち、それから4週間後に原油価格がその動きを追随した。2009年2月と3月のその頃まで原油価格は堅調さを取り戻し、大豆油は既に、上昇局面入りした。
  • 2011年2月、植物油は金融危機以降の高値を付け、そのほぼ3カ月後の2011年4月末に原油価格も高値を付けた。
  • その後、2011年から2014年中ごろまで、原油市場は80ドルから115ドルのレンジ相場となる。一方で、植物油は長期的な弱気相場入りしており、2014年末の原油価格の急落の前兆となっている。
  • 2015年8月と9月の大豆油の底打ちは、2016年1月と2月の原油市場の底打ちに、半年ほど先行している。
  • 最近、大豆油価格は、原油価格が上昇しているにもかかわらず下落基調をたどっている。これは、原油価格の今後の下落を予兆しているのか。

もちろん、この連動性は今後も保持される保証はない。植物油と原油の価格間の明白な連動性が抑えられかねない要因は以下のように少なくとも2つ存在する。(1)一部の国がバイオ燃料のマンデートへの関心を失っており、撤廃する可能性がある。(2)植物油が原油価格の先行指標である可能性を原油トレーダーが認めたとしたら、自らの行動を変えて植物油の値動きに迅速に反応するように行動を変えるかもしれない。ただ、当面は、こうした状況にはなりそうにはない。

さしあたり、原油トレーダーは、大豆油とパーム油の直近の動きに注意し、原油価格の次の動きが下落方向の可能性を真剣に考慮するように助言される可能性がある。原油価格が下落しやすい可能性を考えるべきそのほかの理由は、以下の通りである。

  1. 在庫は増え続けており、前年比で7%増加している。
  2. 米国の生産量は伸び続けており、7月以来、日量約60万バレル増えている。
  3. 原油とガスの掘削リグ稼働数は増え続けており、これは長期的ではないにせよ、少なくとも今後2カ月間、米国の生産量はさらに増えることを示唆している。
  4. また、1月1日に開始された6カ月間の減産協定を延長するかどうかを生産国が判断しなければならない5月に、原油輸出国機構(OPEC)が減産を継続できるかについて疑念が生じ始めれば、市場は不安を募らせているかもしれない。

原油価格にはその上、需要の増加の余地や供給停止の可能性など、多数の上昇リスク要因が存在する。しかし、原油価格が今後数週間、あるいは数カ月間下落基調をたどったとしたら、植物油市場が警告を発しなかったという話は聞きたくはない。


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著者について

Erik Norlandは、CMEグループのエグゼクティブディレクター兼シニアエコノミスト。世界の金融市場に関する経済分析の責任者であり、最新のトレンドと経済要因を評価することで、CMEグループのビジネス戦略、および当グループの市場で取引を行う顧客への影響を分析します。CMEグループのスポークスパーソンの一員でもあり、世界経済、金融、地政学の情勢に関する見解を発信する。

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