トウモロコシ、大豆、小麦のボラティリティは上昇に転じるか?

  • 7 Apr 2016
  • By Erik Norland

Erik Norland(CME Groupシニアエコノミスト兼エグゼクティブディレクター)

トウモロコシ、大豆、そして小麦の先物価格は、この1年ほどの間、非常に狭い範囲にとどまっている(図1~3)。そして、オプションのインプライド・ボラティリティ(IV)も極めて低い水準へと下落している(図4~6)。現在のボラティリティの水準は、農産物の収穫に適した気候が3年間にわたって続き、米国を含む世界中の市場で在庫が増えていることに起因しているようだ。しかし、商品市場の国際的な取引通貨である米ドル(USD)の上昇や、昨年発生した強力なエルニーニョの影響を考慮すると、こうした低水準のボラティリティが果たして妥当であるのかという疑問が生じる。今後、市場を取り巻く様々なリスク要因によって、平穏な農産物相場は終わりを迎えるかもしれない。市場のリスク要因には、以下のようなものがある。

  • エルニーニョ: すでにピークは過ぎたが、北半球の作付けと南半球の収穫が気候変動の影響を受ける可能性がある。
  • ラニーニャ: 今回のように強力なエルニーニョが発生した年(1972年~73年、1982年~83年および 1997年~98年)には、12ヶ月以内に強力なラニーニャが発生した。過去には、トウモロコシ、大豆、小麦などの穀物市場において、ラニーニャによってボラティリティが著しく上昇した。(農産物市場のヒストリカル・ボラティリティに関する当グループのレポート、エルニーニョ、ラニーニャ、ボラティリティおよびオプションを参照。)
  • ブラジルの政治的混乱は一向に収まる気配がなく、最近のレアルの反発は長く続かない可能性がある。レアルが再び下落することで、農産物市場のボラティリティが高まるかもしれない。
  • FRBが利上げをした場合、米ドル(USD)が再び上昇トレンドに転じる可能性がある。米国ではインフレのペースが早まるとともに、労働市場の改善が続いている。一方、フェドファンド先物は、すでに2016年~17年の利上げをほぼ織り込まない水準へと下落しており(図7)、米ドルはこの数ヶ月間、ほとんどの通貨に対して上昇していない。しかし、こうしたプロセスは次第に収束し、米ドルは一層の上昇トレンドに向けて動き出すかもしれない
  • 債務問題。世界は債務にまみれている。中国、香港、シンガポール、オーストラリア、カナダおよび韓国は、米国、欧州、日本に続き、対GDP比で250%以上となる債務総額(公的債務と民間債務の合計)を最近記録した。こうした国々では成長が鈍化し、金融資産のボラティリティとともに、農産物をはじめとする資源価格のボラティリティも高まることが考えられる。(当グループの最近のレポート、債務まみれの国々:有事における脆さを参照。)

以上のリスクを考慮すると、現状のトウモロコシ先物オプション、大豆先物オプション、そして小麦先物オプションのインプライド・ボラティリティ(IV)は、あまりにも楽観的な見通しに基づいた水準であり、上方への修正が起こり得るだろう。トウモロコシのIV(満期まで90日間のオプションが対象)は、3月下旬に発表されたUSDA収穫レポートの内容を受け、再び20%付近まで下落した。2011年~12年の期間で見ると、トウモロコシのIVは27%から47%の範囲で推移し、平均は約35%であった。同様に、小麦のIVは最近では約25%となっているが、2011年~12年には30%から45%の範囲で推移していた。そして最後に、大豆のIVは最近では約15%であるのに対し、2011年~12年には20%から35%の範囲で推移していた。

前述の経済要因や、エルニーニョに伴う継続的な気候変動によって、これらの農産物市場におけるインプライド・ボラティリティ(およびヒストリカル・ボラティリティ)が急騰するケースも考えられる。その場合、オプションによるヘッジのコストが大幅に上昇することになるだろう。

図 1: トウモロコシ相場の小幅な変動

図 2: 大豆相場のボラティリティも低水準

図 3: 小麦相場のボラティリティも著しく低い水準にある

図 4: トウモロコシのインプライド・ボラティリティは、前回のラニーニャの発生時には27%~47%の範囲で推移した

図 5: 2011年~12年にかけて、大豆オプションのインプライド・ボラティリティは20%~35%の範囲で推移 した

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